「あ、あの…部屋に私のピアス落ちてませんでしたか？」

周りを確認した後、小声で話しかける。

「すみません。俺も急いで出てきたので確認ができていません」

「そうですよね…見つけたら教えてください」

「わかりました」

少し油断すると昨日のことがフラッシュバックされる。

…もう、思い出すな！

「今度の休み、空いてますか？」

「え？」

「俺とデートしませんか？」

デート…

そっか、私たち期限付きとはいえ付き合ってるんだもんね。

「特に予定はないので大丈夫です」

「では待ち合わせ場所と時間をお伝えしたいので連絡先交換しませんか？」

「あ…はい」

携帯を取り出し、連絡先を交換する。

…湊さんとまさかこんなことになるなんて。

「楽しみにしてますね」

「なっ…！」

湊さんは機嫌が良さそうだった。

私に笑いかける表情に胸が熱くなる。

まだ信じちゃダメ。

この後が重要なんだから。

化けの皮が剥がれるまで油断しちゃダメ！

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