第27話

シングルベッドに180センチ超えの男と2人なんて狭くて仕方ないけど、その狭さがあたしには心地良い。



向かい合って抱き締め合いながら、あたしの髪を梳く嶺亜の手が気持ちよくてそのまま胸元に頭を擦り寄せた。



「てか、残念だなぁ。せっかくの新しい服、あんま見れなかったんだけど」


「…嶺亜がすぐ脱がすからじゃん」



せっかく嶺亜が好きそうな服を買ったのに。


自分でしわくちゃにしちゃってたけど…。



てゆうか、あの暗がりで服が新しいなんて気付いてたなんて何者?




「まぁでも、正直俺はお前の中身にしか興味ねぇんだけど」


「…ヘ、ン、タ、イ」


「その変態が好きなクセに〜」


「……ばーか」


「うわ、ひど」



言いながら、その声は笑っている。



「………」


「もう寝ろよ。無理させてごめんな」


「……いっしょに、」


「いるから。どこも行かねぇよ」


「…ん、おや、すみ」


「おやすみ、英梨」



心地よくまどろんでいく意識の中、頭にキスを落とされるのを感じ、幸せを噛み締めながら瞼を閉じた。

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