第20話 ネツァク神殿の巫女ネイト

ホド検問所を越え、西の土地から、南西の位置にネツァク神殿は建っていた。

ケブラーの軍隊が、横暴に戦車でネツァク神殿を素通りして通り過ぎた。

その喧騒に、智紀は胸が騒いだ。


ネツァク神殿につくと、

「皆、ここまでの旅、本当にお疲れ様。英霊・巫女ネイト様の元に巡礼に行こう」

キャラバン長・ワイバーンが言った。


「私達が、天の巫女ネイト様に近づくことのできる神聖な場所だ」

ワイバーン達がうやうやしく、神殿の中を歩いた。

神殿の中の修道者達は、皆女性だった。


「これが…英雄、巫女ネイト?」

神殿の中心に巫女ネイトの美しい像が建っていた。


皆は、巫女ネイトに祈りを捧げた。


その時。


巫女・ネイトの像が血の涙を流した。


「ネイト様も帝国と魔王の戦争を苦しんでらっしゃる…」

ワイバーンが祈りを捧げながら嘆いた。


(……私を連れて行ってください……)


微かだが、声が聞こえた。

「今の聞こえた?」智紀が皆に話す。

チビノアが頷いた。

「英霊召喚しよう!!」蘭が言った。

光が、「いきなり連れて行くのは、神殿に迷惑がかかるわ。この像を頼りにしている人は沢山いる」と言った。

「シスター長に直談判するべきだな」ワイバーンが言った。


シスター長ルナマリアは、金髪の澄んだ目をした女性だった。その憂いある瞳を湛え、

「巫女・ネイト様がそう望むのなら……。ネイト様は、祈りを捧げられる事より、自身でエリュシオンの闇と戦われることを望みました。私たちはそれに従います。ネイト様が、この地の為に再び戦われる姿が、祈りを捧げる巡礼者達にも通じる事でしょう」

シスター長・ルナマリアは続けた。


「でも、叡智を2つ捧げて欲しいのです」と言った。


騎士・ジークフリートである星哉と、戦士・アンナである加奈子が進み出る。


ネイトの像の前で、ジークフリートの融合者である星哉と、アンナの融合者である加奈子が、神殿に叡智を与える中、チビノアが詠唱を始めた。


「汝ら、英霊よ、このエリュシオンの英雄よ。此の地に闇が訪れたし、此の地に悪がはびこりし。時間ときの流れでなお偉大なる汝の名において、 我ここに誓わん。

現世の泡沫、英霊の者の力を得よ!!いでよ!!英雄、巫女・ネイト!!」


チビノアと、星哉と、加奈子の力で、巫女ネイトの像からネイトが光の中から現れた。

そして、叔父・乃蒼の病室で会った小夜が立っていた。

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