第15話 鉱山での仕事

銀堀のコロ虫たちは、坑道の堀削や鉱石の採掘をしていた。

柄山負のコロ虫たちは、採堀内に出る不要な岩石を坑外に運び出す仕事をしている。

手子のコロ虫たちは、坑内での諸雑用をしている。

柄山負のコロ虫がふらふらして、岩石をぽろぽろ落としているので、拾おうとしたら、

「素人が中途半端に手を出すなコロ!!」

とコロ虫に怒鳴られた。

働いてるコロ虫たちに、

「銀を採掘したいんです!!」と言うと、

「それには、コロ婆の許可がいるコロ。あそこにいる山師コロさ」と言われた。


智紀達は、豪華な指輪を何個かして、採れた銀を嬉しそうにながめながら、働いてるコロ虫達を監視していた山師のコロ婆に話しかけた。

「僕たち銀を採掘したいんです!!」

智紀達は、山師のコロ婆に言った。

「だまらっしゃい!いきなり不躾なガキ共だね」

コロ婆が一括した。

「銀が欲しいなら、まずは手子として働きな!!泣き言は許さないよ!!」コロ婆が言った。


智紀達は手子として、山中にトンネルのように掘られた坑道で、坑内の換気を担当した。


まず、板踏みの仕事をした。

高さ60㎝、横幅90㎝、幅約90㎝の箱型で約12㎝の口がついており、箱の上に乗って足を交互に動かし、体重を移動させると、板踏みの口から空気が押し出される。

智紀達は力いっぱい踏んで空気を押し出した。

それから、唐箕を回転させた。風を外に出すものだ。

唐箕を回すのにも力が必要だった。


坑内を掘り進めて、銀を発掘するコロ虫たち。

銀が眠っているところは、他の岩石とは色が異なり、乳白色だった。コロ虫たちは採掘を進めた。

そんな中、コロ虫たちが騒ぎ出した。


「これは、なんだコロ?」


明らかに、銀とは違う、人の形をした石の塊が坑内に埋まっていた。


「これは…英雄、戦士アンナだ。こんなところに……」チビノアがいった。

「出してあげよう!!」

智紀が言った。

「勝手なことを始めるんじゃないよ!!」

山師のコロ婆がとんできた。


チビノアは、詠唱をはじめた。


「汝ら、英霊よ、このエリュシオンの英雄よ。此の地に闇が訪れたし、此の地に悪がはびこりし。時間ときの流れでなお偉大なる汝の名において、 我ここに誓わん。

現世の泡沫、英霊の者の力を得よ!!いでよ!!英雄、魔法使いアンナ!!」


あたりが光に溢れ、戦士アンナが石化から解かれ、目覚めた。

そして、叔父の病室で会った加奈子が立っていた。

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