授業をしていたら夜になっていました
楓ちゃんに教えてもらえる授業はとても楽しかった。エロ要素はなかったけどとても充実した時間となった。
そう、充実しすぎていて時の経過が意識からすっかりと抜け落ちていた。
「あれ!? いつの間にかもうすっかり夜に!?」
「マジか、もう19時じゃん。こんなに時間が経ってたんだな」
完全に日が落ちて、図書室が真っ暗になっていて、そこでもう夜になっていたことに気づいた俺たち。もっと早く気づけよという話だが全然気づかなかった。
「俺、楓ちゃんの授業が楽しすぎて時の流れが光だったよ」
「私も、涼くんと一緒に過ごせる時間が幸せすぎて時の流れってこんなに速いんだって思ったよ。私たち、それだけ2人の時間に夢中になってたんだね」
「そ、そうだな……」
楓ちゃんは妖艶に微笑んだ。すごく可愛い。
しかし暗くて見えづらかった。楓ちゃんの可愛いお顔をもっとちゃんと見たいと思った。
「とにかく急いで帰ろう。あ、もしかしたらもう鍵閉められてるかも……!?」
まさかこれは、楓ちゃんと2人きりで学校に閉じ込められるって展開……!? エロいけどさすがにマズイだろそれは! 俺が人道から外れる未来しか見えない!
「大丈夫、鍵なら私が持ってる。生徒会長だからね、いつでも学校に出入り自由なのだ。私がいる限り学校に閉じ込められたりはしないよ」
チャリンとした金属音が鳴る。あ、持ってるのね。さすが生徒会長……
「―――ッ!?!?!?」
暗いけど全く見えないというほどではなくて、ぼんやりとは見えるくらいの暗さ。だから見えたのだ、扇情的な光景が。
楓ちゃんは制服のボタンをちょっと外して、胸の谷間から鍵を取り出していた。
前にも見たぞその光景! だからなんで胸の谷間にしまってるんだよ!
くっ……暗いからハッキリとは見えない……! なんとかして明るくしたいと心から願ってしまった。電気をつけようにも電気どこだっけ? って感じだし、スマホの光で照らしたりしたらセクハラだし……
でもまあ……暗くてよく見えないのもそれはそれで超エロい……何なら楓ちゃんのシルエットでも俺は余裕で欲情する……
いかん、発情してる場合か、暗くて危険だから気を引き締めないと! 俺は自分の顔をパンパンと叩いた。
俺と楓ちゃんは図書室から出て廊下を歩く。
「楓ちゃん、暗いから気をつけろよ」
「大丈夫、私生徒会長だから」
「生徒会長関係あるのか……?」
「学校のことは知り尽くしている。学校のすべてが私にとっては庭みたいなものだからさ、どんなに視界が悪くても大丈夫!」
そうか、さすが生徒会長、頼りになる。楓ちゃんがいれば夜の学校も怖いものなしだ。
―――パタパタ……
!?
暗く長い夜の廊下、俺たちの前に何かが飛んでいた。
謎の飛行物体。……おいちょっと待てよ、つい最近似たような出来事があったばかりだぞ。
俺は一瞬ギョッと固まり、その物体をよく見た。
前に見たスズメバチと比べればゆっくりと静かに飛んでいて、スズメバチではないことだけは確かだ。ちょっとだけホッと胸を撫で下ろした。
で、なんだこいつは。ゆっくり飛んでいるからよく見ればわかる、たぶん。
こいつは……
蛾だ。夜を代表する虫と言ってもいい、蛾だ。
白っぽく茶色っぽい、大きな羽がある虫。蛾が優雅に舞うように俺たちの前を横切るように飛んでいた。
なんだ、蛾か……ちょっとキモいけど蛾ならそこまで害はないだろう。俺は警戒心を解いた。ハチじゃなくてよかった……
……待てよ……確か、楓ちゃんは虫がかなり苦手と言っていた。
俺は恐る恐る、となりの楓ちゃんをチラッと見る。
楓ちゃんは、目の前を横切る蛾を見て一時停止していた。人は、あまりにも恐怖なものを見ると思考停止してしまうことがよくある。
「いやああああああ!!!!!!」
蛾は楓ちゃんに寄ってきたわけではない。通り過ぎているだけだ。しかし楓ちゃんは相当苦手なのだろう、悲鳴を上げた。
むぎゅっ!
「!?!?!?」
悲鳴が聞こえた瞬間、何か大きなもので視界を塞がれた。もともと暗い視界だったが塞がれたことで完全に見えなくなった。
とても柔らかくて、瑞々しい弾力があるものが、俺の顔面に押しつけられている。なんだこれは。
いや、エロ魔人の俺ならわかるだろ。この柔らかい感触の大きなものが何なのか。
これはおっぱいだ。楓ちゃんのたわわな乳房が、俺の顔面にむにゅうっと押しつけられていた。
俺はピシッと石化したように一時停止した。
楓ちゃんは蛾を見て怯えて、俺に抱きついてきた。俺の顔面に胸を押しつけて頭部にしっかり腕を回して抱きしめられた。
―――ああああああ!!!!!! ああああああ―――!!!!!!
俺の意識がハッと覚醒した瞬間、心の中で狂喜という名の大爆発が起きた。
俺の顔面に楓ちゃんの柔らかい胸の感触がいっぱいに広がる。俺の顔を挟み込むほどの大きさで包み込まれて、俺の鼻にいい匂いがいっぱいに広がる。
あれほど強い憧れを抱いていた楓ちゃんの胸……それを俺の顔で感じている。
楓ちゃんは虫が怖くて俺に抱きついてきただけなのはわかっている。楓ちゃんに性的な意図はないのはわかっている。しかしこれは……これはもう……
これで欲情しないというのは無理がありすぎるんだ。
楓ちゃんは怖がってビクビクと震えながらさらに抱きつく腕を締めつけてくる。すごい力でむにゅっと乳圧がかかる。
窒息しそうだが楓ちゃんの乳で死ねるなら本望だと確信した。
「―――はっ! ご、ごめん涼くん!」
楓ちゃんは正気を取り戻して俺から素早く離れた。窒息寸前の状態から解放されて自由に酸素を吸えるようになったというのに残念に思う気持ちの方が大きかった。
楓ちゃんの乳でプレスされた俺は脳内がピンクの汁で満たされ、立っていられなくなって尻もちをついた。
足は立ってられないのに股間の方は突き破るくらい勃ってしまった。
「ごめん涼くん、大丈夫……?」
楓ちゃんは手を差しのべてくれて、俺はその手を握った。
「楓ちゃんの方こそ大丈夫か?」
「うん、虫はもうどっかに行っちゃったみたいだから」
確かに、キョロキョロと見渡してみても蛾の姿はもうない。たまたま近くを通っただけで、とっくにどこかに行ったのだろう。
正直に言うと、蛾に感謝したい気持ちでいっぱいだった。
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