楓ちゃんと授業しました
図書室でつばきちゃんと授業をした。決してイケナイ授業とかではなく至って健全な学問の授業である。しかしこれは授業でもなんでもなく、ただ俺が一方的に学力という名の暴力でボコボコにされただけだった。
つばきちゃんが帰った直後、楓ちゃんは現れた。
またこのパターンか……すぐなんだ。本当にすぐなんだよ。
他の女の子と絡みがあると、本当にいつもすぐにシュバッと来るんだよ、楓ちゃん。
「涼くん、また野田先輩と一緒にいたね」
完全に背後を取られている。振り向いたら殺すって言われそうな圧力を感じる。
楓ちゃんの右手が後ろから伸びてきて、俺の顎をそっと撫でる。
ゾクゾクッとした恐怖を感じる。なんで恐怖を感じているのに俺の股間は嬉しそうにしてるんだ。調教されすぎだろ。
まあ、怖いけど楓ちゃんの手は本当にキレイで美しくてしなやかで艶かしくて、手だけでも性的な意識をしてしまう。
「今度は図書室で野田先輩と2人きりかぁ……何してたのかな?」
可愛い声、でも冷たい声色。近くで囁かれる。
ゾクゾクと脳髄を溶かされる。股間も強く脈打つ。
近くに寄ってきたから、豊満な胸がむにっと背中に当たる。当てるつもりはなかったんだろうけど大きいから当たってしまった。背中に広がる、柔らかく張りのある感触で完全に勃起してしまった。
俺の肉体なのに、楓ちゃんが操作しているみたいだ。
「つ、つばきちゃんのサボり癖を克服するために、ちょっと授業をしただけだって!」
「保健体育の授業かな?」
「違う違う! 普通に数学とか英語とか……つばきちゃんの方がはるかに頭が良いから俺は何一つ教えられなかったが……」
「ふーん。ねぇ、こっち向いてよ」
振り向く許可が出たので俺は楓ちゃんの方を向く。
すると楓ちゃんは俺の懐に顔を埋めた。
「ちょっ、楓ちゃん……!?」
「ジッとしてて。匂いチェック」
こんなに近くで、匂いを嗅がれるなんて……また胸が当たって……いい匂いも俺の嗅覚を甘く溶かしてきて……強い性的興奮でビクビクッと痙攣してきた。
ああああああ!!!!!! ああああああ!!!!!!
心の中のもう1人の俺が大暴走して悶えてもがく。
ダメだ、我慢できない耐えられない。自分の手を強くつねる。この災害のような性的衝動をごまかすためには自らを痛めつけるしかなかった。
「―――……うん、野田先輩の匂いはしないね」
匂いチェックはクリアか。当然だ、今回は1度もつばきちゃんと触れ合ってはいない。
匂いチェックが終わったならすぐに一旦離れた方がいい、楓ちゃん。
このまま楓ちゃんと至近距離にいると、俺は有害ワイセツ物になりかねないんだ。
「……じゃあ次は……」
ジーッ……
「っ……?」
楓ちゃんにまっすぐ見つめられる。首のところらへんをじっくり見られてる。
楓ちゃんの瞳には光が宿っていたが、ハッキリとした強い意志と圧力を感じる。
彼女の瞳に俺の顔が映るのが申し訳なくなるくらい、楓ちゃんの瞳は澄んでいて美しく輝いていた。
「ど、どうかしたのか楓ちゃん。俺に何かついてるか?」
「キスマークとかないか確認中」
「ないよ! あるわけないだろ!」
「まあ、念のためね」
鎖骨あたりもじっくりと穴が開くほど凝視される。楓ちゃんの熱い視線だけでも強い性的興奮が呼び起こされ、目の奥にピンクの汁が滲み出て弾ける感覚があった。
楓ちゃんの指が俺の耳にそっと触れ、ペロンとめくって耳の裏まで確認される。
耳の裏まで熱く赤くなっていくのが感じられた。
「……よし、今回は問題なしかな。他の女と絡む度に徹底チェックやるからね」
他の女の子と話したら毎回やるのかこれ……非常に心臓と股間に負担をかけるのだが。
まあ、理性を鍛えるいい機会でもあると思って前向きに考えよう。
楓ちゃんがようやく離れてくれて、俺は立っているのもやっとなくらい骨抜きにされたんで机に寄りかかる。
「それじゃあ私とも授業やろうよ涼くん」
「え!?」
「え!? じゃないよ。だから上書きだよ。図書室の授業も私が上書きするから」
また上書きか。楓ちゃんもすごく頭良いんだよな? また俺は学力の差という公開処刑を受けるのか?
つばきちゃんはともかく、楓ちゃんにかっこ悪いところ見せたくないという思いが強く生じた。なんとかこのイベントを回避できないものか。
「なぁ楓ちゃん、もう日も暮れるし下校時刻なんじゃないか? そろそろ帰らないと暗くなるぞ」
「やだ。まだ帰らない。涼くんと授業やるの」
駄々をこねる子どもみたいなこと言い出した。このワガママな楓ちゃんもすごく可愛いけど……
「今日はもう帰ろう。授業はまた今度にしよう」
また今度ということにして、その間に必死に猛勉強して準備しようと考えた。
「ダメ、今すぐじゃなきゃやだ。野田先輩とはやったのに私とはやってない時間が長くなるなんて私は絶対耐えられない」
やったとかやってないとかイヤラシイ言い方すんな。万が一誰かに聞かれたら誤解されるだろうが。
それに俺は今、楓ちゃんの胸が当てられたのが原因で性的欲求の扉が開いてしまってるんだ。そんな俺を刺激するな。
「何? 私と授業やりたくないの? 野田先輩とはやったのに」
あっ、ヤバイ。病みモードが発動しそうだ。俺が恥かくよりも楓ちゃんが悩み苦しむ方がずっとイヤだ。
「わ、わかったよ! 授業やろう楓ちゃん!」
「やった、ありがとう涼くん!」
楓ちゃんはパアッとさわやかな笑顔になった。
すべて楓ちゃんの思うがままだな。
というわけで引き続き図書室の勉強イベント開始。
楓ちゃんと一緒に席に座る。つばきちゃんとは向かい合って座っていたけど、楓ちゃんはとなりに座ってきた。そして椅子も俺の方に寄せてきて、ドキドキ感が高まる。
「……えー、その、楓ちゃん。わかってるとは思うけど、一応言っておく。
俺は落ちこぼれのバカだ。成績優秀の楓ちゃんが俺なんかと一緒に授業なんてやったって無駄な時間だと思う。つばきちゃんと授業やった時だってほとんど無駄な時間だった」
そう言うと、楓ちゃんは俺の頬を軽くつねった。
「何言ってんの? 涼くんと一緒にいられる時間が無駄なわけないじゃん。次言ったらこのほっぺ切り取っちゃうよ?」
超怖いこと言ってるんだけど!? ほっぺ切るって……ほっぺないと人間ってどうなるんだろうか……しゃべれなくなったり食えなくなったりするんだろうか……
「でもな、つばきちゃんにもハッキリとバカって言われちまった」
「ふふん、あの女もわかってないね。男の子の価値というのは学力だけで決まるものではないというのに」
え、楓ちゃんフォローしてくれてんの? ちょっと感激。
「だが俺が楓ちゃんに教えることができるかどうか……」
「誰が涼くんが教えるって言った?」
「え?」
「私が教えてあげるよ、涼くんに。それで野田先輩を見返してあげようよ。
私と涼くんだけのマンツーマン授業で、手取り足取り教えてあげる!」
「ッ……!!!!!!」
俺にズイッと詰め寄って、妖艶な笑みを浮かべて俺を悩殺してくる楓ちゃん。
ワザとか……ワザとだよな? ワザとイヤラシイ言い方してるんだよな……?
ただでさえ興奮しまくっているのに、こんなの……楓ちゃんの特別授業……受けないわけがない。俺はゴクリと喉を鳴らした。
―――楓ちゃんの特別授業は、至って健全で大真面目なものだった。
すごくわかりやすく丁寧に教えてくれる。中学時代や高校時代の記憶を辿ってみても、どの先生よりも楓ちゃんの授業がわかりやすかった。
楓ちゃんは俺のために真剣に真面目にたくさん教えてくれた。嬉しい。
エロいことしか考えられなかった俺が恥ずかしい。そんな俺の思惑を見抜いたのか、楓ちゃんはクスッと楽しそうに微笑した。
わかっててからかってるな、ワザとエロを匂わせておいてからの、焦らし。小悪魔だなぁ。
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