冬眠

 文化祭は他のクラスの屋台を回ったり、空き教室でサボったり楽しく過ごしていた。海外のバンドが来て演奏したり、音楽選択の人達が歌ったりしていた。わたしは何も発表せずに見る専門でのんびり眺めていた。


 その頃から悩みができた。自動車学校に通うかどうかである。普通に自動車免許はあった方がいいけど、わたしはわたしのことが信用できてない。


 そのころの移動手段は自転車だったのだが、たまに記憶が無くなることが多かった。その間脳みそが機能していないわけでは無い。ちゃんと意識はあるし、判断することもできる。


 ただそのときの記憶を消していて学校から家までワープしているような感覚なのだ。それに前に自転車に乗りながら寝ていて壁にぶつかることもあった。


 そんなわたしが車に乗ったら事故を起こすのではないかとすごく怖かった。車は簡単に人を殺せるものだから。それでも車がないと地方では就職さえ危ういのも事実だ。

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