第17話
「マリオン……
──あたしだけ、生き残ってごめんなさい」
うわ言のように謝罪を繰り返し、砂漠を走る蒸気機関車のコンテナに落下する。
電力切れだった。がたがたぽうぽうとやかましい機関車に揺られるまま、ココは天を仰いだ。
濃紺色の空に彩雲がたなびく。風に流され、雲は幾重にも表情を変えた。心模様のように、一つに留まらない。
雲の切れ間から朝陽が覗き、孔雀青の瞳を焼いた。眩しくて、悔しくて、空が美しくて、ココは涙を流した。
──きっと、今日くだした決断を後悔する日がくるだろう。
マリオンと別れた日と同じように、顔を煤で汚したココは思った。
──4:44 a.m. 薄花色の静寂がアウトポスを支配する。
蒸気機関車の走行音にかき消されながらココは独りごちた。
「悪党ならば、悪党らしくしていろよ……」
憎むことも、赦すこともできないじゃないか。
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