第4話

岬とは同期入社の数人が辞めてしまって、2人だけになった頃から、なにかしら仕事で話す機会も増えて、そのうち幾ら相手が派手で目立つ外見をしていても、一歩引いて……なんて言ってられなくなった。


 モカちゃんは入社当時しつこい男性社員に言い寄られているのを助けてからなんとなく懐かれるようになった。


見た目は派手だけど、実はちょっと抜けているところもあって可愛いなと思ってからは、懐かれるのも悪い気はしなかった。


 しかし改めて、こうして岬とモカちゃんが並んでいるのを見ると、神様って不公平だなって思う。


 小さな顔立ちに整った目鼻立ちとスラリと手足が長くて其々に七、八頭身のモデル体型。


 二人ともコンプレックスなんてないんだろうなって思うけど、モカちゃんは高すぎる背が、そして岬は意外にも筋肉の付きにくい貧相な体躯が嫌らしい。


どれだけ筋トレをしてもなかなか筋肉が付かず、一時期プロテインを浴びるほど飲んでいたと聞いた時は思い切り吹き出してしまった。


 隣の芝生は青いものなんだな。


 私なんて、中肉中背、顔立ちは見るに耐えられないって程でもない。


つまりは平凡なつくりだし、これなら負けないってものも持っていない。コンプレックスの塊だと思うのに、それを自分自身が「ま、いいか」なんてお気楽に構えちゃってるからそれほど悩んでもいない。


 でも、そんな平々凡々な私がこの美形二人と親しくしているのは面白くないと思う人間は結構いる。


 いっそのこと美男美女の二人が付き合ってしまえば、周囲も納得するんじゃないだろうか?そう思って二人に提案したことがあるんだけど、モカちゃんは他に片思いしている相手がいると断られ、岬には蔑むような視線を向けられて、この話は終わった。


 きっと、岬にも思う相手がいて、好きでもない相手と付き合うことを提案した私を軽蔑したんだろうな。


 そう思ってからは、二度と二人にその手の話をするのはやめたんだった。

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