第3話
東条さんは、ピアノが趣味の、建築士を目指している、20歳の大学生。
そんな彼が私の高校にやって来たのは、音楽教師の羽田先生が指を怪我してピアノがひけなくなってしまったから。
合唱部の顧問でもある彼女は、2か月後に控えた合唱コンクールへの思い入れが強くて。
代理を頼むにも、この高校に羽田先生程ピアノが上手い先生はいなかったから。
母校の後輩である彼に、コンクール迄の代理を頼んだらしい。
合唱部の部長である私は、羽田先生から事前に聞かされていて。
部員たちより先に挨拶をすることになった。
「よろしくお願いします」
3つも年下の私に、丁寧に腰を折る彼に驚いて同じ様に深く頭を下げた。
穏やかに笑う、その笑顔に惹かれた。
ピアノを聞くと、その繊細な音に泣きそうになった。
好きになるのに時間は必要ないんだと、
初めて知った。
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