第12話

女神副会長に話を訊こうにも、本人が目の前にいては口に出しづらい。そこで、わたしは彼女を生徒会室からいったん出るように促し、少し離れたところでたずねることに。



「……あの、クソみたいに生意気な男はなんなの?」

「えっ、生意気? もしかして、いま生徒会室にいる子のこと?」

「そう、それ! なんで生徒会じゃないやつが、生徒会の仕事やってるの?」

「あぁー、まぁ、いろいろとね、しかたないのよ」


少しあきれたように、彼女はこっそりとわたしに理由を教えてくれた。




あいつは、我々よりも1つ年下の後輩で、クラス委員長らしく、委員長が集まる委員会でも、上の方のポジション。

生徒会にこそ立候補をする予定はないけれど、現生徒会長とたいへん、そりゃもうたいへん仲が良いらしく、会長はもちろん生徒会の役員たちも忙しいときはああやって代理で仕事を引き受けてもらっているらしい。


実際、物覚えもいいし、外面がいいのもあって(女神副会長はこうは言わなかったけれど、そういう意味ではあるだろうというわたしの解釈)、生徒会長はもちろん、生徒会の担当の先生も黙認しているから、副会長以下のメンバーも現状を受け入れている、とのこと。

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