第7話

勤務時間はあっという間に終了し、退勤時間になる。はるちゃんも同じ時間に上がりだ。タイムカードを切って、彼女と談笑しながら帰り仕度をする。

スタッフルームを出て先に上がることを知らせ、店を出ると、少しほこりくさいような感じがした。



「あれ、雨でも降ったのかな? 地面が濡れてる」

「あ、ほんとだ……」


街灯が照らすアスファルトが濡れていた。くぼんでいるところに水たまりもできている。



「せっかくの桜、散っちゃったかな」

「かもね。また来年かぁ」

「ねえ、ひかりちゃん」

「なに?」

「ちょっと、遠回りして帰らない?」

「遠回り?」

「うん。実は今日、兄があの公園の近くで用があって、そこで合流して帰ろうって言うからひかりちゃんも一緒にどうかなって思うんだけど」


あの公園とは、このあたりでいちばん大きな公園だ。桜の木がたくさん生えていて目立つので、よく待ち合わせ場所に使われたりもしている。


「うん、いいよ。公園の方歩いて帰るなら、桜のようすも見られるし」


じゃあ、決まりだねー、と、わたしたちはいつもとは違うルートを通って帰ることにした。

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