第4話 まさかの真実(投稿停止)

当たり前のことだが、この世界の騎士にも階級がある。

下の階級から、訓練生、騎士見習い、下級騎士、中級騎士、上級騎士、精鋭騎士、副騎士団長、騎士団長の順に上がっていく。

この世界では基本下級騎士から、兵士を数人連れて行くことができ、騎士見習いから俺の目標である強化魔法の使用や———訓練生の死刑宣告などもできる。

余談だが、俺が入隊試験のときに戦った神速のクリスという名の教官は俺と同じ平民でありながら、一気に精鋭騎士まで上り詰めた化け物だ。


ああ、オルカの脱獄を止めておいて良かったよ。ホントに。


そんな現実逃避はさておき、俺は土下座したまま目線を上に上げる。

そんな目線の先には……。


白髪に青と緑のオッドアイの美少女がいた。


釣り上がった目からは気の強い女性だということが読み取れる。

だが、夜だからかフリルのついたネグリジェを着ていて昼間のときの恐ろしい雰囲気とは全然違い、可愛らしさが垣間見えた。


彼女の名は——————エミリア・セリア・フランクベルト。

王家の貴族、フランクベルト家の長女であり、幼少期から剣技の天才と歌われた……その証拠に新人兵士(入隊1年未満)の初っ端に騎士見習いの称号を得た才女だ。


そんな彼女の前で俺は軍律に背いた。


「ええっと‥‥‥おれはどうしたらいいんでしょうか。」

「ちょっと黙ってなさい。あーもう。こんな夜中に大声を出すなんて非常識なバカ、一体どこにいるのよ。」


そう言い放ってさらに目を釣り上げた。


「いるじゃないですか。今、あなたの目の前に」

「皮肉で行ったのよ。屁理屈で返すな。」


キョトンとした顔で彼女を見ると、しゃがみ込んで俺の耳を引っ張りながら、耳元で罵声を浴びせてくる。

彼女なりの大きい声を出さないための配慮のつもりなのだろうが………


「ちょっといかがわしいお店のコンセプトなんですね。いくら払えばいいですか。」

「次巫山戯たことを言ったら、永遠の眠りにつかせてあげるわ。」


おぉ。随分と恐ろしい脅迫ではないですか。


「因みにどんな方法———」

「さて、どう苦しめてやろうかしら」

「い、痛いです」


更に俺の耳を引っ張られた俺は両手を上げて、ギブアップのポーズをした。

すると彼女は深いため息とともに、依然として俺を睨みつけながらも手を離した。

俺はまだ激痛が走る耳を保護するように抑えながら、深呼吸して口を開く。


「それで、俺はエミリアさんにお詫びに何をしたらよろしいのでしょうか。」

「あ、もしかしてサンドバッグが欲しいのですか?それならうちにオルカっていう良いサンドバッグが」

「ち、違うから!私は人を殴って楽しむような頭のおかしいやつじゃないから!」


どうやら違ったらしい。

俺の再生能力に目をつけられたと思ったんだが……ならなぜこんなところに?


「どうしてまたこんな場所に?何も無いですけど…」

「偶然よ。少し夜景でも見て心を落ち着かせようと思って、外に出たらあなたが防壁の中に入っていくのが見えただけ」


どっから見てんだよ!ストーカーか。

そんな言葉を口に出せるわけもないんだが。

ていうか、その前に俺には最大の死亡フラグが立っている。


俺が密かにそんなことを考えている中、エミリアが此方をチラチラ見ながら、


「と、ところでなんで真夜中に魔法を使うなんて自殺行為をしていたのかしら?」


はい、俺の人生終了。

短い人生でした。最後に彼女ぐらい作っておきたかったな。

俺が絶望している中、更に彼女は俺にとどめを刺してくる。


「場合によっては死刑になってしまうけど」


あれ?俺の事心配してくれてる?

これってもしや……


「……俺に気があるんですか?」

「は?違うわよ。何言ってるの?ただ私はあなたが見えたから‥‥」

「へー。そんなふうには見えないっすけどねぇ?」


どんどん顔が赤くなっていく彼女に見惚れていると、


「と、とにかくあなたが魔法を使っていたのは事実なんだし‥‥」

「そもそもなんで騎士に?」

「急に何よ?」

「いや〜なんか気になっちゃって」


まぁ大方目星はついている。

幼少期から剣技の天才と言われ、周囲から期待されて仕方なくなったのだろう。


「魔法を使いたくて騎士団に入ったのよ。」

「知ってm———は?魔法?」


本来騎士は魔法使いになれなかった者がなるモノだ。

なので普通騎士は魔法を嫌い、使ったとしても肉体強化ぐらいだろう。

しかも剣技の天才と言われた彼女がなぜ?


「そ、そんなにおかしい?」

「め、珍しいとは思いますけど?」


まぁもともと転生して20年近く奴隷として扱われてきたのだ。

よそ者の俺にとっちゃどうでもいい。


「……騎士団にはこの身で魔法を食らいたくて入ったのよ。」


昼間の雰囲気は完全にドSのお嬢様だと思っていたが———生粋のドMじゃねぇか!


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本当に申し訳ございません。

他作品と内容が似ているようなので、これを持ってこの作品は停止させていただきます。

数少ない閲覧者の皆さんありがとうございました。

次は「痛覚請負人の異世界生活」を投稿しておりますので、よろしければお読みください。

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クソみたいな人生を送っていたただのおっさんが異世界転生してチート能力を手に入れた状態で奴隷になった件について @colt12

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