第4話 破魔の剣
「風の騎士のことを言ってるの?」
「はい、連れて行っても役に立ちませんよね?」
エリサの問いに、ティランは頷いた。
ティランの母親のカタリナは、闇の神に見出されたのだった。
一方、闇の神は、大山脈の南のナムラ砂漠を旅する人々にひっそりと信仰されるだけの神となり、やがて旅人にすら存在を忘れられた、彼は、大山脈の北の地方に僅かな信者と共に移住した。ところが、ここでも彼の一つ目の恐ろしい姿が 人々を畏怖させて、闇の神の信仰は広がらなかった。悲しんだ一つ目の闇の神は、夜に輝く花を北の地で、咲かせること望み、神が愛した精霊族の女、『ゼナ』いう彼女の名前で呼ばれていた。だが、もとは砂漠の花である、その花を北の地方で咲かせるのは、大変なことであった。彼は、自身の力『人間の夢』に干渉して、皮肉なことに、光の神の娘のカタリナの大地の力を知ることになる。一つ目の神は、「あなただけ来てくれたら、後は何もしない」と、約束した。自らの子供は、可愛かったが、闇の神の真摯な頼みも無視できなかった。それで、カタリナは、一つ目の神に協力することにした。
でも、砂漠の花を湿気の多い北の地で咲かせることが出来るのか……最終的にカタリナが思い付いたのは、自分の身体に根付かせてしまうことである。
果たしてディハルド神は、北の人々が狂って行くのを見て何も思わなかったのであろうか?
*
「あなたが
「そうよ!! だから私は、あなたのお母様を殺したも同然なの!!」
「そんな風に思ってません。母上を闇の呪縛から救ってくれたこと、感謝してます」
ティランは、彫刻のような顔で微笑んできた。
その顔に嘘はなく、むしろ晴れ晴れとした感じだった。
「それより、その後で、あなたを天界に連れ去ろうとした神を阻止して大暴れして、神の怒りを買って最下位まで落とされた風の精霊を、エリサはサントスで必要ですか?」
「そりゃ……いらないけど……風の騎士は、私の祝福精霊なの。だから、簡単には契約が切れないのよ」
ティランは、クスリと笑う。こんな所は、エリサはとても自分に正直なのだ。
「風の騎士のために、あなたとの契約を切ることをお勧めしますよ」
「出来るの!?」
「はい。この【破魔の剣】で。これは、上位の精霊との契約と魔法使いの契約を切る剣です。
風の騎士は、変わり種で、彼がどういう生き方を選ぶにしても、銀の森に残った方が、回復は早いと思いますよ」
「お願い!! リカルドとの契約を早く切って!!」
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