第9話
私が机に伏せて極端に落ち込んでると美奈ちゃんが謝ってきた。
「ごめん、蘭。
王子とか考えずにあんたをシンデレラに推薦しちゃった」
私としたことがー……、と美奈ちゃんも頭を伏せる。
「……まぁ、良いけど」
だけど日高が王子とか……。
なんで、皆?!それでいいわけっ?!
「ってゆうか美奈ちゃんは継母で良いの?」
「あー、私はね。
向いてると思う、継母」
ちなみにまふゆちゃんは衣装係で、都ちゃんはナレーション。
ナレーションは紙を読むだけだから、すごく簡単なんだって。
「私は蘭のドレス製作に全力を尽くすよ」
今日まで知らなかったけど、まふゆちゃんはどうやら裁縫がとても得意らしい。
「作りたいものしか作らないけど」
そう言いながらまふゆちゃんは私の隣で雑誌を読んでる。
イケメンが沢山載ってる月刊誌。
都ちゃんは私を見ながら心配そうにしてる。
そして、言った。
「福本先輩、何も言わないの?」
美奈ちゃんと眞冬ちゃんがバッと顔を上げる。
「え……?
だって嫌でしょう、普通。
自分の彼女と知らない男が仲良くお芝居してるの」
「泰睦はそうゆうの嫌がる男なわけですか」
眞冬ちゃんが面白そうに都ちゃんにそう言う。
都ちゃんは恥ずかしそうに「そうゆう訳じゃ……」とか何とか言い訳。
でも、私は思います。
「ゆきくんは多分、頑張ってって言うよ」
だってゆきくんがヤキモチ妬いてるのなんて全く想像できない。
一回だけゆきくんが「俺、妬いちゃう」って可愛いことを言ってくれたけど、あれも何だか余裕そうに私のことをからかったみたいな感じだったし。
「ゆきくんはそんなことで妬いたり怒ったりしないもん」
そんな私を見て美奈ちゃんが面白そうに笑った。
「でもさ、漫画とかだとよくあるじゃーん?
彼女が強奪されかけて焦って豹変する、みたいな話。
日高にライバル心を燃やしたフクが蘭に……みたいなさぁー」
まふゆちゃんは美奈ちゃんのことをけだるそうに見つめる。
「あんたは本当に、どこにでもロマンスを見出だせる女だよね」
「当たり前でしょ!
恋とは女の永遠のテーマですから」
「その発想力をもっと他のことに利用したら?」
まふゆちゃんと美奈ちゃんは見てて面白いです。
「まっ、あのフクが日高みたいな男を相手にするとは到底考えられないけどね」
美奈ちゃんの言葉にまふゆちゃんは頷く。
「そもそも日高と福本先輩じゃタイプが違うもん」
まふゆちゃんの言うことはたまによく分かりません。
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