第7話

ゆきくんはかっこよく考えてから、今度は私にドライヤーを当てる。



声が聞こえるように耳元で話してくれた。



「確か、タピオカ。色んな味を作るらしいよ」


「えー!おいしそーう!」



ゆきくんがタピオカとか……。


どんだけ爽やかなんだっ!



「どんな味つくるの?」


「ブルーハワイとか、メロンソーダとか。


南国風にするって実行委員は言ってたかな?」



南国風とか、ゆきくんにピッタリすぎっ!



「スズちゃんのクラスは?」


「クレープだったかな?


スズちゃんは今年、メイド服着るらしいよ。

あと結奈ちゃんも。


詩織ちゃんは午前中は浴衣で、午後はメイドとか言ってて、大澤とカクは淳士にブチ切れてたよ」



大澤はギャラスタのドラム。


詩織ちゃんってゆう美人な彼女がいる。



「流星先輩はスズちゃんのメイド、怒らないの?」


「まぁ、あの人はスズちゃんのメイド見たいと思ってるだろうし」



ドライヤーの電源を切りながらゆきくんがちょっと笑って言った。


そうだ、と思い出し一応、日高のことも話す。



「そっか、日高くんイケメン決定戦に出るのか」


「有り得ないよ!日高、だいっきらい!」



ゆきくんは最近、日高にギターを教えてるから何か微妙に仲良し。



私的に日高はライバルだ!



「日高くんのこと、嫌いなの?」


「だって邪魔者じゃん。


ゆきくんと私のこと邪魔してるとしか思えないもんっ!」



おまけに勘違い野郎だし。


自分のことかっこいいとか思っちゃってるところ、本当にナイっ!



日高なんてゆきくんの一億五千分の一でもまだ大きいくらいのかっこよさだしっ!



「蘭ちゃんがそこまで言うのは逆に珍しくて心配かな」


ゆきくんは色々片付け、私に優しい微笑みを見せた。



「どうして?」


「だって蘭ちゃんはそれだけ日高くんに関心があるってことでしょ。


心配だなぁ」



私のことをジッと見る。



「取られちゃわないか心配だよ」



そんなゆきくんがすっごくかっこよくて私は思わず抱き着いた。


突然抱き着いたからか、ちょっとビックリするゆきくん。



「ゆきくん、好きっ!」



顔を上げて聞いてみた。


「チューして?」



チューしてって首を少し傾げて聞くと、ゆきくんは少し困って、だけどキラッと笑って「いいよ」って、私の唇に優しく触れた。






ゆきくん、私の気持ちはズットゆきくんだけのだよ。



だけど私がバカすぎて、結局ゆきくんに心配をかけてしまったね。



ごめんなさい。

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