第11話

俺が弾くより全然上手いし……。



「絡み、分かった?」


「はい!今までより分かりました」



分かっちゃう感じもムカツくっ!



「じゃあ二人でやってみよっか」



キラキラスマーイル……。


むかつくっ!



俺は福本幸也の真似をしてギターを弾いた。




今までよりかなりうまくいった。



「そうそう!そんな感じ」



「なるほどー」



ヒロは真剣に頷く。


「こうやって練習って進めていくんですね」



俺は面白くない。


なんなんだよ、この完璧男子は!



「じゃあ、ちょっと休憩にしようか」



するとヒロが立ち上がりトイレに行ってしまう。


俺は自動的に教室に福本幸也と二人きり。



「……あの、福本先輩」



俺は試しに聞いてみる。



「米倉蘭とはいつから付き合ってるんですか?」



黙る福本幸也。



「米倉蘭とはどうやって付き合ったんですか?」


「気になる?」


「はい。気になります」



すると福本幸也ははぁ、とため息をつく。



「きみ、本当に堂々と蘭ちゃんを狙いにかかるね」



そして何も答えてはくれない。


「教えてくれないんですか?」


「教えるわけないでしょ」



「俺がもし米倉蘭をガチで奪ったらどうしますか」



福本幸也は持ってたシャーペンを静かに机に置いた。



「自信あるんだね」


「だって俺、学年もクラスも同じだし奪う隙はいくらでもあると思いません?」



慌てる福本幸也が見たいし、今言ってることは全部本気。



「そりゃ蘭ちゃんが君のが良いって言ったらそれは仕方ないね」



なのに福本幸也は全く慌てない。



「じゃあ俺、本気で米倉蘭のこと狙っちゃいますから」



俺のイライラも頂点に達する。



「俺、女オトすためなら手段選ばないですよ」



福本幸也は笑うことなく俺を見る。




「お前くらいの男に簡単にオチるほど、蘭ちゃんはバカじゃないんだよね」



そして俺の顔寸前でパンチを止める。



シュッて音が耳に届いた。



「蘭ちゃんが君を選んだら、それは仕方ないけど。


君が無理矢理あの子をモノにしようとするなら」



力を抜いて拳を俺の前から下ろす。




「手加減はしない」




その福本幸也の言葉に俺は生唾を飲み込んだ。



「……なんてね」



笑顔のなんてね、は全くフォローになってなかった。

だけどその福本幸也を見て俺は俄然、ヤル気になった。







2010.06.10

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THIEF 斗花 @touka_lalala

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