第14話

だから尚更───あの時あいつを手放しておいて正解だったと思う。






「頭、お相手が到着致しました」


「……フン、漸く来たか」






もしあのまま俺の側に置いていたなら、きっと今頃不幸にしていたことだろう。



狭くて息苦しい世界に閉じ込め、家に利益が無いと分かれば容赦無く切り捨てる───そんな血を俺は受け継いでいるのだから。






「……幸二朗、準備は良いか」


「……あぁ」






───あいつは手放して正解だった。





今頃俺のことなんか忘れて、外の世界で幸せに暮らしていることだろう。





……それで良い。







「では、中に入れろ」


「…御意」






あいつが幸せなら 俺はそれで良い。



それだけでこの先にある苦しみも……何だって乗り越えられる。

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