第3話 子どもたちは俺が守る!
俺が助けた女性はサーヤさんといい、ショートカットされた金髪にパッチリ二重の美人さんだった。
サーヤさんが住むのはランドという街で、近くにはダンジョンがあり冒険者と呼ばれる職業の人が多くいるそうだ。
「ネムリさんは私を助けようとして下さる勇敢な方ですから、勇者様の資質がありそうですね」
サーヤさんが俺にそう言うが俺はサーヤさんのユサユサと揺れる胸部装甲にチラチラ目をやりながら言う。
「いえ、俺は出来ればヒーローでありたいですね」
俺はサーヤさんにそう言う。
「
違う! 違うんだ、サーヤさん! 俺は英雄という名のヒーローではなく、純粋な【ヒーロー】と呼ばれたいんだ!!
この違いは異世界の人には分からないかも知れないが、なに、これから俺が広めて行けばいい!!
俺の固い決意をよそにサーヤさんは話を続ける。
「最近は魔王などと名乗って魔力が強い人が邪な考えを持つ人たちを集めて
何ーッ!? テッサー軍団だと! 地球で仮面カイザー
(※どちらもフグに関係あるよ。良い子のみんなは調べてみよう!!)
いや、そんな筈はないな。あれは仮面カイザーの生みの親である
内心で驚いて無口になった俺を気遣いサーヤさんが声をかけてくる。
「あの、もしかして私がいらぬ事を言ってしまいましたか?」
「あ、いえいえ、違いますよ。ちょっとその軍団と似た名前の軍団を知ってたので驚いたんです」
俺はそうサーヤさんに告げてその魔王についても聞いてみた。
「で、その魔王と名乗る者は他にも何かしてるのですか?」
「私たち庶民では近くの脅威しか教えてもらえなくて…… でも何かはしてると思います」
そうか。ここは異世界だからな。サーヤさんは庶民と言ったが、地球と同じように政治家や官僚などのお偉いさんが情報統制をしてるのか。俺はもののついでにサーヤさんにこの世界の事を知る限りで構わないので教えて貰う事にした。
聞けば、サーヤさんの住む街はデルザー王国の領土で、領主として子爵位の貴族がいるそうだ。だが、街にいるのは代官で領主自体は領都に居を構えているらしい。
街の名前はザガーナというらしい。
「ザガーナにおられる代官様はとても庶民思いの方で、いつも私たちの嘆願をご領主様にお伝えして下さってるんです。まあ、ご領主様が私たちの嘆願を聞いて下さる事は滅多にありませんけど……」
そんな話をしていたら街に着いたようだ。門前には兵士がいて、サーヤさんを見て声をかけてきた。
「サーヤ! 無事だったのか。実は街にテッサー軍団の下っ端のゴブリンシーフが現れてな。子供たちが数人、さらわれてしまったんだ!」
「ええ!! 何ですって! それで、何か要求はあったのですか? 代官様はどうされるんですか?」
慌てるサーヤさんを落ち着かせ、とりあえず俺の素性を尋ねる兵士。
「まあ、待て。落ち着くんだサーヤ。攫われたのは孤児院の子供が三人だ。それよりもこちらの男性は何者なんだ?」
そこでサーヤさんは森であったことを兵士に説明する。そして、「ああ、子供たちが無事だといいけど…… 私の時のように対決シュワットさんが助けてくれたら良いのに……」と兵士の前で言った。
「その対決シュワットという謎の男はそんなに強いのか?」
兵士の問いかけに俺は答えた。
「ああ、隠れて見ていたが魔羅王と名乗る豚面の怪人をパンチ一つで倒していたよ」
「そうか…… そんなに強い者がいるのか…… その者が子供たちを助けてくれないか冒険者ギルドを通じて動いてみよう」
「そうか。俺も及ばずながら子供たちの為に動いてみるよ」
俺は兵士とサーヤさんにそう言って、その場で兵士から身分証明を作ってもらい、街に入らずにそのまま子供たちを攫ったというゴブリンシーフが現れた現場へと向かったのだった。
第二話【子供たちを救え! 盗賊退治だ!】
(仮面カイザー
俺は現場で風見鶏吾郎としての能力を使う。そして、ゴブリンシーフと呼ばれる者たちの痕跡を見つけて後を追う事にした。
痕跡を追って向かった場所は……
「あ〜、ちょっと教えてくれないか、お嬢さん。あのお屋敷はどなたがお住まいなんだ?」
どでかい屋敷なので正面突破はマズイと思い、先ずは誰が住んでいるのか確認する事に。ちょうど道を歩いていたお嬢さんに聞いてみた。
「あら、知らないの? 旅人さんね。あのお屋敷はデルザー王国御用達の商会が持つお屋敷よ。今はこのザガーナの街に支店を作ろうとしてる商会の人たちが住んでいるわ」
「そうか、有難う。お嬢さん」
俺はお嬢さんに礼をいい屋敷の周りを歩いてみた。
すると、裏口部分にゴブリンシーフが入った痕跡があった。潜入するしかないな……
俺は昼間なのにどこか薄暗い屋敷に潜入する事にした。裏口には見張りなどはいないようだ。
屋敷内にもすんなりと入れた。そのまま人の気配を探りながら奥へ奥へと向かう俺の耳に人の声が聞こえてくる。
「グヘヘヘ、よくやったぞゴブリンシーフよ。これで我輩もテッサー軍団でのし上がれるに違いない。そうなればお前もちゃんと引き上げてやるからな。それで、攫った子供たちの中に【勇】の資質を持つ子供はちゃんといるんだな?」
「はい、【勇】の資質を持つ子供と【聖】の資質を持つ子供を確認しました。もう一人は何の資質も持ち合わせておりません」
「フム、ならばその子供は用なしだ。殺せ!」
「ハッ! 直ぐに手配します、メタルエイプ様!!」
何だと!! そんな事をさせてたまるか!!
俺はその声の主の後を追う。子供たちが捕まっている場所を探る為だ。
地下に向かうその声の主は子供かと思うほど背が低かったが、どうやらコイツがゴブリンシーフとやらのようだ。
「フフフ、おい、お前、出ろ!! お前は用なしだから処刑する事になった。さあ、出て逃げろ! 俺様に追いつかれたらお前を殺すぞ!! 必死で逃げろよ!」
と牢屋らしき中に三人とも別れて入れられていて、そのうちの一人の女の子(十歳ぐらいか?)にそう言うゴブリンシーフ。
そこで俺はゴブリンシーフに怯えながらも牢から出て走り出した女の子を素早く抱きかかえて、後を追おうとしたゴブリンシーフを蹴り上げた。
「グハッー! な、何者だー?」
「悪を断じて許さない男さ」
俺がそう名乗るとゴブリンシーフの手にはナイフがあった。
「貴様ーっ! ここはメタルエイプ様のお屋敷だぞ!! 勝手に入ってきおって!! 死ねーっ!!」
俺は女の子を庇いながら、巧みに身体を入れ替えて牢屋とゴブリンシーフの間に入った。
そこで女の子に牢屋で待っているんだと伝え、ゴブリンシーフに立ち向かう。
「貴様、只の人じゃないな!! 上級冒険者か!?」
「いーや、違うな。俺は悪を憎むヒーローさ」
俺の名乗りにゴブリンシーフは苛立ちを覚えたようだ。
「このゴブリンシーフの中でも特に強いネームドであるブルースカーフ様を相手に余裕をかましていられるのも今のうちだ! ヌオオーッ」
ゴブリンシーフが雄叫びを上げると奴の体が盛り上がる。背丈は俺と変わらなくなり、引き締まった筋肉質な体となっている。
「クククク、この姿になった俺様に勝てる人間などおらん!! 死ね!」
素早いゴブリンシーフの攻撃をまともに受けた俺は壁をぶち壊して隣の部屋に吹っ飛んだ。
俺にとどめを刺そうとゴブリンシーフも部屋に入ってくる。
「クククク、まだ死んでないか。人間にしてはタフだな。だが、ここまでだ」
そこで俺は変身ポーズをとった。
「変身! デイスリャー!!! トゥーッ!!」
俺の腰にいつの間にか現れたダブルハリケーンが回る。そして、俺はこの世界で初めて、仮面カイザーD3に変身したのだった。
第二話 【完】
次回予告!
子供たちを助ける為に怪しい屋敷に潜入し、遂に仮面カイザーに変身した眠長七郎。
果たしてこちらも変身したゴブリンシーフに仮面カイザーは勝てるのか?
そして、この屋敷のボスであるメタルエイプには?
良い子のみんな、三連休だからってハメを外しすぎないようにな!
俺は連休なんかなく、仕事だぜ!!
次回はちょっと更新が遅れるかも!!
出来るだけ、一週間に一話は上げるつもりだ!!
(無理だったらゴメン)
孤高のヒーロー、異世界に見参!! しょうわな人 @Chou03
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