第2話

小松原こまつばら、また君か」



昇降口に差し掛かったところで呼び止められる。


せっかくいい気分に浸っていたのに、最悪。


なのに私に声をかけた人物は「ハァ」と大袈裟に溜息を吐いたので、思わずカチンと頭にきた。



「なによ。なにか迷惑でもかけた?」


「君の制服の着方について、毎回先生に報告するのが面倒なだけ」


「じゃぁ報告しなければ?」


「ハァ…、相変わらず要領悪いな…」



要領!?


眼鏡の生真面目委員長が、サラサラな黒髪を見せつけながら少し俯く。


しかも2度目のため息と共に投げ槍に言葉を吐きだしたのが、また更にカチンとくる。



「あんたと話すと凄く下に見られてる気がする」



だから話したくないのに。


先生お気に入りの優秀なクラス委員長、そして生徒会役員のはやし たくみ


どうやら高校でもモテてるらしいけど、格好良いのは名前だけ。


今の私にとっては天敵。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る