第2話

「伽耶さんとは、連絡は取れたんでしょうか?」


「あ…はい…。哲弥さんと、一緒だと言っておりました」


「無事なら安心しました」



 猫を被り、好い人ぶった台詞。


 こんなことをやっているのとたまに疲れる時がある。


 冷静に考えてみれば、伽耶に対して俺は愛情を持っていなかったのかもしれない。


 それほどまでにショックではなかったからだ。


 むしろ、プライドの方が問題だ。


 兄貴と婚約者が駆け落ちなんて、一族になんて説明する?


 会社でも変な目で見られるのか?


 そんなことばかりが頭を駆け巡る。


 伽耶の心配なんて、一切していなかった。


 俺は最低だ…。


 伽耶とのことよりも先に、自分の立場とか、そんな考えをした自分にショックを受けているんだから。




「匡高。これを」



 伽耶の父親と話をした2ヶ月後。


 父が俺を社長室に呼び出した。


 そしてスッと、机の上を滑らせながら目の前に白い封筒を差し出された。



「これは?」



 聞かずとも一目で解った。招待状だ。


“ invitation ” と金色の文字で書かれたそれに、色んな差出人の封を何十回と開けてたたんだ。


 今度は何の招待だよ…と、俺ばかりが担うこの作業に思わずため息が出そうになる。

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