第1話

「誠に、申し訳ありませんでした!」



 俺と父親の前で頭を下げるのは、俺の婚約者だった伽耶かやの父親。


 政略結婚と理解はしているが、見合いで初めて顔を合わせたにも関わらず伽耶とは意気投合していた。


 話せば彼女は話題が豊富で。


 アーティスティックな部分を持ち合わせ、俺よりも兄貴の方がお似合いかとも思ったが。


 こればかりは「この結婚は匡高がしなさい」と言う父親の言い付けで、断る理由もない俺はそのまま婚約をしたんだ。


 なのに、結果がこれ。


 駆け落ち?


 冗談じゃない。


 しかも兄貴とだと?


 あの2人はいつからそんな関係だったんだ?


 それさえも知らなかったなんて。


 俺も親父もプライドが傷付けられた。


 伽耶の父親は勘当すると言っていたが、親父は兄貴をどうするのか。


 次男の俺と、三男の武尊たけるが父親の会社に入っているというのに、兄貴はうちの仕事には興味を持たない。


 代わりに、あちこち写真を撮るため移動する日々。


 そんな兄貴が海外へ行くと言うタイミングで、伽耶は付いて行ってしまった。



 俺は、フラれたって事なのか ――?

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