第12話 スクールカウンセラー

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 でもなんとなく、部屋に上げさせてもらった。

 そこは何というか殺風景だった。

 だがしかし、部屋の中央に一輪の花が花瓶の中で華々しく咲いていた。


「その花、なんて言うんですか?」


「気になる?」


「はい……」


「英語で言うところのlily、いわゆる百合です」


 志桜里はドキッとした。そして、“また”後ずさった。

 そしたらその百合の花を一本、簪のように志桜里の髪にまいた。


「これが私の気持ち。受け取ってくれるよね」


「そ……それは」


 「三か月の間に答えを頂戴」


 志桜里は茫然としてしまった。


✳✳✳


 それから、その日の夜中に外出した。コンビニに行くためだった。

 月を見た。そんな小さな輝きに見惚れている自分がいた。


「月が綺麗ですね」


「ああ、ええ?」


 横を見ると、ブラウスにジーパンというラフな格好という女性が立っていた。


「あの、誰ですか?」


「しがないあなたの学校のスクールカウンセラーよ」


 そう言ってニッと笑う。

 はて、自分の高校にスクールカウンセラーなんていたっけ。


「どうして私に声をかけてきたんですか?」


「学校であなたのいじめが問題になっていてね。顔写真を学年主任から見せてもらって。それで覚えていたのよ」


 どう、私の家に来ない? と訊ねられる志桜里。それに素直に頷いた。


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