第12話 スクールカウンセラー
16
でもなんとなく、部屋に上げさせてもらった。
そこは何というか殺風景だった。
だがしかし、部屋の中央に一輪の花が花瓶の中で華々しく咲いていた。
「その花、なんて言うんですか?」
「気になる?」
「はい……」
「英語で言うところのlily、いわゆる百合です」
志桜里はドキッとした。そして、“また”後ずさった。
そしたらその百合の花を一本、簪のように志桜里の髪にまいた。
「これが私の気持ち。受け取ってくれるよね」
「そ……それは」
「三か月の間に答えを頂戴」
志桜里は茫然としてしまった。
✳✳✳
それから、その日の夜中に外出した。コンビニに行くためだった。
月を見た。そんな小さな輝きに見惚れている自分がいた。
「月が綺麗ですね」
「ああ、ええ?」
横を見ると、ブラウスにジーパンというラフな格好という女性が立っていた。
「あの、誰ですか?」
「しがないあなたの学校のスクールカウンセラーよ」
そう言ってニッと笑う。
はて、自分の高校にスクールカウンセラーなんていたっけ。
「どうして私に声をかけてきたんですか?」
「学校であなたのいじめが問題になっていてね。顔写真を学年主任から見せてもらって。それで覚えていたのよ」
どう、私の家に来ない? と訊ねられる志桜里。それに素直に頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます