第8話 元カノの自宅に訪問
ピ~ンポ~ン。
剛志は雅也の衝撃的な言葉を聞いた後、書店でラノベを見ることは無かった。駆け足でショッピングモールを退出し、自身の脳内の記憶を辿りながら最近に疎遠となった人物との自宅に向かう。
幸運にも、その人物の自宅は剛志の通う洛一高校の近所にあり、15分ほどで目的地に到着する。
『はい。えっ!? 」
剛志の聞き馴染みの有る声色がドアフォンから吐き出される。
「フラれた身なのに突然に自宅を訪問してごめん。でも1つ聞きたいことがあるんだ。ダメかな? 」
剛志は必死な表情で感情の籠った口調でドアフォンに語り掛ける。今すぐでも夕愛と話がしたかった。
「…なに言ってるの? 私達別れてるんだから。話すことなんて無いと思うけど」
ドアフォンから夕愛の突き放すような冷たい言葉が流れる。
(どうしてだよ。面倒くさいな)
必死さからの起因だろうか。剛志は思い通りに物事が展開しない現実に憤りを覚える。
「今日さ。偶然にもショッピングモールで時谷君の姿を見たんだ。陽キャ感が漂う女子3人と一緒に居たよ。そこで時谷君が口にしてたんだけど。夕愛が弱みを握られて時谷君と付き合ったのは本当なの? 」
剛志はショッピングモールで認知した事実をドアフォンに向けて捲し立てる。
『ガタンッ。ピッ…』
物音共にドアフォンが消える音が生じる。
剛志の目の前のドアを介して夕愛の自宅内から足音が接近する。
剛志は足音から夕愛の慌てた様子が容易に想像できた。
ガチャッ。
剛志の目の前のドアが手動で開く。
中から上下ピンクの部屋着を着た夕愛が姿を見せる。
「ど、どうして。…どうして。剛志君がその事実を知っちゃうの…」
夕愛は絶望したような悲しい顔で瞳を潤ませながら剛志を見つめる。
「その反応に表情。やっぱり弱みを握られていたのは本当だったんだな…」
剛志は夕愛の言動を見て真実に少しでも近づいた感覚を覚えた。夕愛の反応から雅也が夕愛の何かしらの弱みを握って付き合った事実が確定する。
「ちょっとここで話をするのも変だから。場所を変えない? どこでもいいから」
剛志は雅也によって握られた夕愛の弱みを聞き出すために身を置く場所の変更を提案した。
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