第31話信長の告白

躑躅が崎館。


「大儀であった。」

「ありがとうございます。信玄。」

「ありがとうございます。お館様。」

「皆、休むがよい。」

「はい。」

「承知しました。」


夏希と昌景は、昌豊達と別れた。


「昌景、私のこと、どう思ってるの?」

「なにを唐突にっ。」

「昌景から、好きとも、愛してるとも言われてない。」

「ガキなんか、相手できるか!アホ!」

「何よ!私は好きなのに!昌景のバカーッ!」

夏希は、泣きながらその場から去った。

「待てよ!夏希!」

(しまった。照れ臭くてつい。態度では、示してるつもりなんだけどな、、、。)

夏希は、馬小屋へと向かう。

「夏希!」

「放してよ!昌景のことなんか。」

「俺だ。」

「のっ信長!?」

「会いたかった。」

「私は、会いたくありません!」

「なぜ、泣いている?昌景がどうした。」

「別に!」

「朝倉攻めの際に同盟を結んでおった浅井が裏切った。お主にもう会えなくなるかと思った。」

信長は、切なくも、愛おしそうに夏希を見つめる。

「私には、心に決めた人が、、、。」

「山県昌景か。泣かされたようだが。」

「放っといてよ!あなたには関係ないでしょ!」

「関係ありありだね。俺なら、お前を泣かしたりしない。好きだ。愛してる。」

「なんで、あんたがそんなこと言うのよ!」

(昌景に言われたかったを、、、。)

信長は、夏希にキスしようとする。

「ちょっ。やだ。昌景ーッ!」


ボカッ!


「夏希に触るな!」

「昌景、、、。」

「上等だ!」


ドスッ!


昌景と信長は殴り合った。互角。


「信長、なかなかやるな。」

「お前もじゃん。」

「とっとと岐阜城へ帰れ!」

「長居はできん。帰るさ。夏希のこと泣かしたら、許さん。」

「お前に言われる筋合いはねー。」

「夏希、俺は天下もお前も諦めない。」

「私も天下は譲らないわ。」

「気に入った。じゃ。」


信長は、そう言い残して、岐阜城へと帰って行った。


「昌景。」

「なんだ?」 

「何も言わなくても、態度で示してくれる昌景が好きよ。」

「バカ!」

「猛将が照れてるー!」

「照れてない!」



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