1−14 僕の選択

「っ!」

僕は起き上がる。さっきのは夢か!?

あれ?でもポケットにはさっきのあれが。

「夢じゃない…って黄花!」

見ると,今まさに美奈さんに連れていかれそうになってるじゃん!

「黄花!」

僕はそう叫びながら,三里に向かって何かを投げるそぶりを見せる。

すると美奈さんの闇の塊が,投げたものに向かって飛んできた。

よし!予想通り!美奈さんは三里の闇を食うために,こっちに意識を向けると考えたんだ!

ポケットにはラッキーグッツとすり替えた,三里へのラッキーストーンが入ってる。

そう!今投げたのは,ラッキーストーンじゃない!

「いっけぇぇぇ!」

僕が投げたものは闇の中でパァンと弾けた。淡い黄色がそこらじゅうに広がる。

「何あれ!」

戸惑う黄花と美奈。

「今だ!」

僕は黄花に向かってもう一つのラッキーストーンを投げた。三里のものとは別の。

ビュンっと音を立てて飛んで行くそれは,最初に見せてくれた黄花のラッキーストーンだ。

「あれって!」

黄花は叫びながら美奈さんの手を振り解く。そして手を伸ばした。

「しまった!」

美奈さんは慌てて黄花に手を伸ばす。けど,もう遅い!

黄花は自分のラッキーストーンを腕いっぱいに抱きしめた。

その時ー!

パァァァッ!

黄花が掴んだラッキーストーンから,光が漏れ出して,黄花の周りに幕を作った。

「何っ⁉︎」

美奈さんが黄花に触れようと膜に触ったその時!

「きゃっ!」

そこからビリビリっと電流が流れたみたいに,美奈さんは後ずさる。

「黄花」

僕は,黄花の手を取った。

この幕は,ひんやりしてるけど,なんでだろ。ほんのりあったかかった。

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