第4章 Touring car final 4

 GPコースは順位の変動なく、駆け抜け。北コースことノルトシュライフェに入る。

「さすがヤーナさん、簡単には抜かせてくれないな!」

 フィチもパスの機会をうかがうが、そう簡単には抜けそうもない。とはいえ後ろから雄平が、龍一が迫る。

「雄平、無理せずついていけ。じっくりチャンスをうかがえよ」

「はい」

 優は画面を見据えて雄平に言う。彼は向上心が強く、グローバルな舞台で活躍したいと願う心も強く。このグリーンヘルカップでいいところを見せ、もっといいチームからのオファーが来るのを期待していた。

 レッドブレイドは日本国内のローカルチームで、このチームでグローバルな活動は、まだ出来ない。

 雄平にとってはこのチームは踏み台だ。が、選手の将来を考えれば、踏み台もまた本望だった。

 ヤーナはこれからも日本国内での活動を希望して。グローバルな舞台での活動は考えていなかった。彼女にとって、もしかしたらレッドブレイドは、選手としての終の棲家になるかもしれなかった。

 ウィングタイガーは一時はグローバルな舞台で活動し、優勝もしたが。世界的不況のあおりを受け、本拠地である韓国と、日本の国内の活動に縮小しつつ。また再びの機会を虎視眈々とうかがっていた。

 ともあれ。

 1番手ヤーナのRS3 LMS、2番手フィチのヴェロスターN、3番手雄平のRS3 LMS、4番手龍一のシビックタイプR。

 5番手に第1レースで勝ったRacingBallのボクスホール・アストラ。

 以下大きな差はなくマシンが続き。後方では順位の入れ替えもあった。

 右に左に、上ったり下ったり。直線らしい直線はない。

「あッ!」

「これは大変なことになりました!」

 夜香楠と風画流が思わず絶叫する。

 右コーナーを抜け、Yokohamaのブリッジを抜ける高速下り坂区間を駆け抜け。下りきってから上り、高速左コーナーで、RacingBallのアストラはアンダーステアを出しコースアウト。急ぎコースに復帰するも、あろうことか後方集団と接触!

 団子状態になってマシンはぶつかり合い、数台のマシンは挙動を乱しながらコースアウト、そのままガードレールにぶつかるマシン、激しく接触し、ボディが凹むマシンと。

 集団クラッシュが発生してしまった。

 2階中ホールの観客たちも思わず声を漏らす。

 まず夜香楠が実況する。

「これは大変なことになりました、5位以下のマシンが集団でクラッシュ!」

「あ、何台かうっすらと消えています。ひどいダメージでリタイヤを余儀なくされたようです!」

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