第4章 Touring car final 2
レッドブレイドでも、ヤーナと雄平が、クルーたちやアンディに俊哉と、拳を合わせ、気持ちを注入する。
レッドブレイドは緊張感を保つために、円卓を囲んでミーティングをしていた。ゾンネエナジーもビル入りとともに飲んだのは言うまでもない。
各選手、大ホールに入り、シムリグの調整をし、ゲームを、Forza Sim Racingを起動させる。
レース開始まで少し時間があり、ウォーミングアップにニュルを走る者、他の短いサーキットを走る者とがあった。
ライブ配信が始まり、風画流と夜香楠が、
「こんばんは! グリーンヘル・カップのツーリングカー決勝レースが間もなく始まります!」
と、ふたり同時に声を発した。
配信で会場の様子が映し出され、画面の右下に夜香名楠、左下に風画流が映る。
「激戦の第1、第2レースを勝ち抜いた24名の選手が、レースに向けてウォーミングアップをしています」
と風画流。続いて夜香楠。
「決勝レースは24台で争われますが。当初は第1、第2の13位で、レースタイムが速い選手が25台目になる案もあったそうです、しかしプロの試合として厳しさも必要との判断から、24台に決まりました」
「端っこに、ぽつ~んと誰もいないシムリグがありますね。ちょっと寂しい感じもしますが、やっぱりこれがプロの厳しさなんですね~」
「本当に、ワイルドな野生の世界と同じ厳しさがあってこその、プロの試合なんですね」
「ワイルドな、野生の世界?」
「おっと、これはとんだ言葉の間違いをしちゃいました」
夜香楠はおどけて、風画流は微笑みを見せた。
続き、ふたり交互に24名の選手紹介をする。
グリッド1番手はフィチことSpiral K、2番手にヤーナことHoney Bear、3番手にRacingBall、4番手に雄平ことYouHee、5番手には龍一ことDragon。
と、5番手までのうち4名は第2レース上位者だった。上手くレース運びが出来たものだった。
グリッドは各レースのレースタイムによって決まった。
「引っ張ってもらって感謝するぜ、シムレーシングのリーグレジェンドさんよ」
と、優は本当にフィチに感謝していた。
時間が来た。
「選手の皆さんはウォーミングアップを終了し、決勝レース待機画面に切り替えてください」
と、風画流がアナウンスする。いよいよ決勝レースが始まるのだ。
2階中ホールの観客たちも、スクリーンをじっと見据える。
カースティは無線越しに伝える。
「Dragon、自分を信じて」
「うん、頑張るよ」
そう、龍一は応える。
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