第25話
「私の調査資料を見たっていうのは…?」
私の質問に答えてくれたのはパパで、
「ごめん。説明がまだだったね。
私は、君の父親の
大希さんの家族の調査を依頼されたんだ。
6年前に『自分に何か有ったら家族を頼む』と大希さんに言われてたから。
『もし大希さんを失って家族が困ってるようなら助けたい』と言われてね。
それで香織ちゃんの事を調べたんだよ。」
「波月さんが?」
パパの話を聞いて驚いた。
波月さんって冷たいイメージだったのに、すごく情に厚い人みたいに聞こえる。2人はただの顧客と弁護士の関係じゃないみたい。
「パパは波月さんと個人的に仲良しなの?」
そうでなきゃ波月さんってこんなに好意的に言われるキャラじゃないよね。無愛想が服着て歩いてるみたいな人だし。
「仲良しか、そうだね。趣味が合ったんだよ。」
「趣味が?」
なるほど『趣味友』なんだね。どんな繋がりかと思った。
「波月さんは無愛想だろ。」
パパの声に苦笑いで頷いた。
「冷たい人だなぁって思った。
私がお礼を言っても、お金を返す話をしても『はした金だから気にしてない。』とか『好きに生きろ。』とか突き放されて、なんだか私自身を全否定されたみたいで…かなり凹んじゃった。」
私の話を聞いてたパパとママが目を見交わした。
「私はただ身寄りがなくなって代わりに出来た恩人の役に立てたら
生きる目的も出来るかなぁってそう思っただけなんだけど。」
ため息混じりでそう言ったら、
「まったくアイツは言葉足らずにも程がある。」
パパは苦笑いしながらそう呟いた。
「本当にどぉしようもないわね。いくら顔が良くてもこれじゃフォローが大変。香織ちゃんがまだ中学生だって事を忘れてるのよきっと。
誰でも自分の言葉の裏を読める訳じゃないのに。」
本当にどうしようもない!ママは眉をしかめてそう言った。
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