第15話
翌朝、6時に目覚めた私はシャワーを浴びておとなしめの服を選び上城さんを待つ。朝食は7時だと知らされていた。
「黒木さんはもう日本に居ないんだよね。」
保護者がいなくて寂しがる小学生みたいな感じ。知らない所にひとりは心細い。彼が居ても状況に変わりはないと思うけど心が寂しがってる。
例え私に興味がなくても少なくとも彼は私を助けてくれた人だ。
昨日黒木さんと話して少しだけ落ち着いて、
今までの事とこれからの事を考え始めた。
『新しい人生を生きられる』と黒木さんが言ってくれるなら私はその為に努力したいと思う。
まだ何していいかもわからないけど、時間は動いてるんだから。
そっと左肩に触れると、微かな痛みは有るものの傷は塞がり既に瘡蓋になっている。
私も少しずつ未来を考えなくちゃ。そう思った。
小さなノックの音と控え目な声を聞いて、上城さんが朝食を運んできてくれたのを知る。
初対面の悪印象を引き摺ってる私はどうにも彼が苦手だ。
ため息をひとつ吐き表情に出さない様に顔を引き締めた。
「どうぞ。」
私の声に応えてドアが開きワゴンにのせた食事と共に上城さんが姿を見せて、
「失礼します。」
穏やかな声で私に声をかけて部屋に入ると手際よく食事をテーブルに並べて行く。
部屋で食べるのは申し訳ないとダイニングに移動する事を提案したら
『広いダイニングテーブルで1人で食事することになるがいいのか。』
黒木さんに確認を取られた時には即座に首を横に振ってしまった。
自分で提案してなんだけど聞いたらダイニングは20畳位有るらしいし、そんなところで1人で食事なんてしたくない。
「ありがとうございます。」
朝食を準備してくれた上城さんに礼を言って食事を始めた。
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