第14話
“妻だった女”
それって離婚したって事だよね。
黒木さんは確かに結婚してても可笑しくない大人だけど、
別れた奥さんって離婚したのに黒木さんの別荘に出入り出来るの?
『泥棒猫』って罵られたって事は彼女はまだ黒木さんを愛してるんだ。
そっと叩かれた頬に手をやる。
「悪かった。あの女をここに入れたのは上城の手抜かりだ。」
「‥‥‥」
謝られても困る。
気にしてないとも言えないけど世話になってる以上文句は言えない。
結局、曖昧に頷くしかなかった。
「色々話して疲れただろう。今夜はもう休みなさい。私は明日早朝から商用でアメリカに行く。しばらくは帰れない。なにかあったら明日来る甲賀夫婦か上城に言いなさい。」
「あのっ、」
ソファーから立ち上がった彼にあわてて私も立ち上がる。
「何から何までありがとうございました。おやすみなさい。明日はお気をつけて行ってらっしゃいませ。」
邪魔者扱いされててもちゃんと礼は尽くしたい。深々と頭を下げた。
なんだかおかしな挨拶をしてしまった気がするけど
「ああ。お休み。ありがとう。」
彼は相変わらず無表情だけど、かけられた声は穏やかだった。
彼がどうして私を買い取ったのか私が真相を知るのはまだずっと先の話。
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