第12話 4人での練習
放課後の今、俺たち「4人」は音楽室にいる。
4人とは、俺こと、真波海斗。そして、腐れ縁イケメンこと、八葉矢龍希。そのイケメンのことが好きな物好きガールこと、間宮優香。そして、集まりの主役、木滝雪のことだ。
「ただ視線を送りながら聴くだけでいいんだよな?」
「うん、そこに座って聞いてくれてるだけで大丈夫」
龍希は木滝さんの返答を聞いて、すぐそこにあった、少しボロボロの椅子に腰掛けた。
それに続いて、俺と間宮さんも椅子に腰掛けた。
左に視線をやると、間宮さんの顔がある。
よく見ると、龍希の方をチラ見して、顔がニヤけて......また見て、にやける。
(マジこいつ誘わなけりゃ良かったよ!)
そう後悔していると、既に演奏が始まったのか、ゆっくりと2週間程聞きなれた曲が流れてきた。
木滝さんの顔を見ると、これまで以上に真剣な顔をしているように見えた。だが、それと同時に、俺一人の時よりも少しだけ客(俺たち)の方に意識を向けてもいるようにも見えた。
「やっぱすげぇな......」
思わず漏れた龍希の一言。
それを聞いてしまったのか、木滝さんは少しミスをした気がした。だが、まだ続けられている。
(このまま俺一人の時に弾ける所まで弾ければいいんだけど......)
そう思いながら、木滝さんの奏でるピアノの音色を聞いていた。
□
俺一人の時よりは弾くことが出来なかったようだが、初日よりも表情や雰囲気も徐々に変わりつつある。
途中でリタイアしたものの、木滝さんが弾き終わった後には2人ともいい反応をしていた。
「トラウマあったことは知らなかったけど、トラウマあってもここまでできるのはすごいな」
「雪ってすごい人だったんだ......りゅ......家の事情すっぽかしてまで来てよかったよ」
「2人とも、ありがとう......」
(一瞬間宮さんの本音が出そうになってたような......?)
そう思っていると━━━━━━
「全然ダメです!!!」
ドアが勢いよく開くと同時に、そんな声がした。
ドアの方を見ると、そこには━━━━━
「全然ダメですよ! 雪先輩! あのときの凄さはどこ行ったんですか!?」
━━━━━━そう大きな声で木滝さんにダメ出しする。
急に飛び出し、乱入してくる謎の.......いや、俺たちは彼女を知っている。
「なんでお前がここにいるんだよ? 水森」
水森とは、ドアから急に飛び出して来て、今まさに木滝さんにダメ出しをしている一年のポンk......失礼、女子のことである。
「あ、真波先輩、八葉矢先輩、お久しぶりです」
水森は笑顔で俺たちに向かってそう言った。
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