第9話

その日からさっそく、お弁当の時間があり、

一華は約束通り理恵、敦子、るか、亜美と

机を並べて食べ始めた。



話題は一華と佐原の話に。



「一華、さっき佐原くんと怒られてたね。」


「やっぱり、そういう関係なんだ?」


「違うよ、違う違う。」


「でも、佐原くんはなんだか、一華に気がありそうじゃない?」


「わかるー!それ!」



前の席でいつも、近くにいるるかも、そんなこと言うもんだから、一華もなんだか期待してしまう。



「あーでもさー。いいなぁ。彼氏欲しい!せっかく高校生になったんだもん、彼氏欲しいよ。」




るかがそういうと、敦子が、急に叫びだす。



「うぉっしゃぁぁあ!我々のグループは、今年中に全員彼氏持ち目指すぞ!」


「おー!!」



全員で拳を上げて盛り上がる。

それを見て、男子や、他のグループの子が、何騒いでるんだあいつら、と笑う。




「ばっかじゃない。」




冷めた声で後ろから何か言われ、振り返ると、

三谷みたにさんグループが冷たい表情で、こちらを見ていた。




「弁当くらい、静かに食べなさいよ、って話。」


「本当本当。」



「しかもすごいくだらない話で盛り上がってるしさ。」




三谷さんグループはどちらかと言うとまじめな子らの集まりだった。



「は?暗そうな奴らに言われたくないし」




理恵は毒を吐く。




「本当にね、うざ。あー萎えた萎えた。」


「空気読めよ、まったく。せっかく盛り上がってたのに何横から言ってんのよ」




理恵に続いてみんな毒を吐き始めた。




一華はなんだか、嫌な感じを覚えてしまい、黙っていた。




どうやらみんな仲良く、というわけにはいかないみたいだ。

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晴れ雨のち→→→好き みずき ほまれ @mizukihomare

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