第8話

チャイムが鳴って、担任が入ってきた。

 



「おーい、座れよー。座れー。」




担任は今日の予定等連絡事項を話し始めた。

事務的に話すので、皆、飽きてくる。




「こっこ!こっこ!」




抑え目に声を出して、和央が一華に話しかける。




「なぁに?」


「みんなにこっこって呼ぶように、話しといた。あだ名の由来も。」


「え?恥ずかしいよ。由来まで話したの?」


「うん、でもいいじゃん。こっこってあだ名可愛くない?」


そこで担任の小野おのが叫ぶ。



「こらー。後ろ2人。先生が喋ってる時に喋るなよ。」



「すみません。」




クラスメイト全員に振り向かれ、一華は恥ずかしくなる。




初日は実力テストを受けさせられた。




春休みに与えられた課題からだったので、楽勝ではあったが、なんだか久しぶりの勉学に脳が糖分を欲してくるようだ。



チラリと横を見ると真剣に問題を解いている和央の横顔が見えた。




(やっぱりかっこいい...)





春だからか知らないが、なんだか身体が火照って暑いような気がしてきた一華だった。






休み時間になると、梓が1Eに遊びにやってきた。




「一華ぁー!!」


「梓!」




一華はるかと敦子といたため、断って梓の元へ。




「あ、ごめん。友達といたよね。」


「ううん。大丈夫。」


「それより、佐原くんていうのは...」


「あ、あのね」




一華は教室を見渡した、端の方で数人男子が固まっている中に和央はいた。



「あの男子軍の中のロン毛の子...」


「えー、結構素敵じゃない!かっこいい!」


「でしょでしょ」


「一華、がんばりなさいよ!」


「いやでもそんな余裕は...まずは友達だよぅ!」


「何言ってんのよ。」



チャイムがなってしまったので梓はF組に戻ったが一華は敦子とるかのもとに戻っていった。



一華が楽しそうにしているのを梓は去りながら見ていった。

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