日常。
槇瀬りいこ
バッグ・クロージャー
食パンなどの袋を止めるプラスチック製のあれ、それにはちゃんと名前があったみたい。
バッグ・クロージャー。
カッコイイ名前だな。
ミドルネームとかあったらもっとカッコイイのに。
私、最近それが捨てられずにいる。
大分前に見たネットの情報に、『捨てるのはもったいない! 便利な活用法!』みたいなことが書かれてあって、それを見てからと言うもの、集めるクセができてしまった。
子供が昔、ガチャガチャのおもちゃを集めたり、アニメのカードを集めたりしてた。エナジードリンクのカラフルなプルタブも集めていたし、それは未だ現在進行形みたい。
子供なら仕方ないと思うけど、オトナでも色々と集める人がいる。職場の入居者様だって、ティッシュやらトイレットペーパーやら、そういった紙類をキレイに畳んでポケットや車椅子の座布団の下に沢山貯めておくの、好きみたいだから。
そんな価値観の人が結構多いんだな~って思いながらも、断捨離好きの私には、正直理解できなかった。
だけどなぜだか、バッグ・クロージャーについては捨てられない私がいる。
だって、よく見ると形がおもしろいと思わない?
私、この人生の中で幾つのバッグ・クロージャーを捨ててきたんだろう。
こんなものは日常の中のゴミとしか思えなかった。
「ああ~取るのめんどくせぇ~!」なんて心の中で暴言だって吐いたことも何度かある。
あの頃の私は、バッグ・クロージャーの良さが分からない人間だったんだね……。
だけど私は変化したみたいだ。
今の私はバッグ・クロージャーが宝のように見える。
だから私、500円貯金をするみたいに、大切に透明の瓶の中へと貯めていった……。
今ではバッグ・クロージャーが12個も貯まった。
朝食はパンより米派の私が、12個貯めるには結構時間がかかってしまったよ。だけど、12個もゲットした。
だからって何に使ってるの? と聞かれても、私、困ってしまう。
実はまだ私、一度もそれを有効活用出来ていないんだ。
今のところは、激しく瓶を振ってみて、カチャカチャカチャカチャ……って音が鳴るのを楽しんでいるだけ。
そのうち有効活用するつもりでいるけれど、今は貯めることが楽しくって……。
つまり、マラカスを作ってるようなものだね。
もっとたくさん貯まったなら、今以上にめちゃくちゃイイ音が出るのかもしれない。
楽しみだな。
次の更新予定
日常。 槇瀬りいこ @riiko3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。日常。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
誰かに向けてるひとりごと最新/松竹梅
★20 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1,131話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。