強くなるためにダンジョンを攻略する彼は配信され、世界中を震撼させる。

@yowain

第1話  ダンジョンの発見

「ねぇ、ひろと。お姉ちゃん塾の勉強合宿があるからもう行くねー。」


そう言って、姉は家を飛び出した。


「よし、姉は家に5日は帰ってこないんだったよな。ダンジョンを見つけに行くか。」


彼、竜胆 大翔も家を飛び出すのであった。



彼は未発見のダンジョンを探して山を登る。手にはグリップ付きの鉄パイプを持ち、大きなリュックを背負い獣道を歩く。

中学1年生の夏休みを全てダンジョンを探す事にしている彼は、「強くなる。」ただ、それだけのためにダンジョンを探す。それは彼にとって最も重要な事である。

「中学校を卒業していないとダンジョンに入れないなら、未発見のダンジョンに入ればいい」という短絡的な考えを採用し、青春で彩られるはずの夏休みをドブに捨て、今に至るのである。


鍛えた肉体に鞭を打ち3時間ほど、ダンジョンを探している。疲れが溜まった体を休めるため少し腰を下ろし、辺りを見回した時、洞窟を発見した。

洞窟の入り口はしゃがめば通れるため、休憩している事を忘れて洞窟の中へ入っていった。

洞窟の中は少し湿っており、天井まで2m程であった。だがそんなことより驚くべきものが存在していたのである。


ダンジョンである。


不自然に明るいゲートを見て彼は笑みがこぼれた。


未発見のダンジョンは国に報告する義務があるがそんな事はしない。入り組んだ獣道を歩きこの洞窟に入る奴なんかいない。つまりこのダンジョンは自分のものである。


「さぁ、早速入ろう」


彼は意気揚々とダンジョンに踏み入れたのである。




(スキル『常在戦場』を手に入れました。)


「うわっ!」

脳内に直接入力された様な気持ち悪さに思わず声が出る。


「まぁ、スキルを使おう。『常在戦場』」


使うと同時に、体が軽くなり、何故こんな無謀な状態で危険なダンジョンにいるのだと冷静になる。


今は15時過ぎでありさっきまで少し眠かったが眠気もなくなった。

3時間の登山であった疲労もなくなった。

お腹も空いていたのに空いてない。

さっきまで、未発見のにダンジョンを見つけ、スキルを手に入れた時の高揚感がどこにもない。


「??」

スキルの効果を感じ疑問に思う。

ある程度の有名なスキルは頭に入っているがこんなスキルは聞いた事がない。


「とりあえず、一旦家に帰ろう。」


スキルによって冷静になった頭で初めてのダンジョン探索を終了した。


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