こちら便利屋アウトキャスト・スコード!

バショウ科バショウ属

ハビタット

 数多のヒューマノイドが銀河へ漕ぎ出してから幾星霜。

 様々な文明が衝突し、混じり合い、ちょうどいい塩梅に落ち着いた時代。

 銀河間統治機構『共同体』によって、銀河には泡沫の平穏が訪れていた。

 しかし、彼らの庇護は辺境の星々まで及んでいない。

 入植が開始されて四半世紀が過ぎた『ハビタット877』は、その1つ。

 宙賊に賞金稼ぎ、殺し屋が跋扈する治安最悪の辺境惑星だ。


「あれか」


 『ハビタット877』唯一の見所、黄金と群青の交わる黄昏。

 それを一筋の流星が切り裂く。

 急激に速度を落とす流星の行先は、ハビタット居住区の玄関口たる宇宙港。


「行くぞ。仕事の時間だ」


 依頼主のを見送り、パールレッドの瞳が閉じられる。


「オーケー、ボス」

「今日も忙しくなるっすね」


 旧時代の内燃機関が機嫌よく唸り声を上げ、アンティーク同然の車を発進させる。

 彼らの行先は、美しい黄昏の下に広がる猥雑なハビタットだ。

 今宵もアウトキャスト除け者たちの仕事が始まる──

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