第29話

碧くんは自らは何もしないつもりなのか私の好きにさせるみたいで。

私だけが息を乱して必死になっているのが恥ずかしい。



「あ、碧く、」


「蘭……俺の…俺だけの…」


「っン! は、私は、んん、碧くんだけだよ」


碧くんが首筋に顔を埋め、強く噛み付く。痛みが走るけど、グッと堪える。

ゆるりと碧くんが指を動かし、服の裾から手を入れ下着に覆われている胸へと触れた。


「は、あ……っ」


「蘭。可愛い、キスだけで感じてたの?」


「〜あっ?!!」



碧くんがカリッと下着の上から胸の突起へと爪を立てた瞬間、ビクンと身体を震わした。

碧くんが吐息を漏らしながら耳元で囁く。


それだけで更に身体の奥が疼くような感覚に頭がくらりとした。


散々碧くんに慣らされ続けた身体は自分の意思なんて関係なく、彼の与える刺激に敏感らしい。

感じやすい身体に穴があったら入りたいくらい羞恥を覚えた。



「は、はは。そうだよね。この身体は俺が調教したんだから……俺のものだよね。あんな奴に蘭は奪わせないし、蘭は俺しか感じさせられないよ。」


「っン!! 〜は、あっ」


いつの間にスカートの中へと手が入り込んだのか、下着の上から下肢を弄られ身体中走る快感の刺激にビクビクと反応する事しか出来ない。



「らーん。俺の蘭。あ〜良かった。そうだよ。不安にならなくても蘭は俺だけのものだもんね。」



クスクスと碧くんが笑う。その間にも碧くんの意地悪な指は私を更に快感に堕とす為に動く。

グチュ、クチュ、と卑猥な水音が下肢から響くくらい濡れてしまっている事は分かってるのに、碧くんは中々私をイかせようとしてくれない。


(足りない……っ)


身体が熱くて。辛くて。もうこれ以上我慢出来ないってくらい煽られているのに、碧くんは求めている絶頂を与えてくれない。


碧くんの事しか考えられなくて、は、はと息が荒くなる。



「あ、碧く、も……んんっ、はっ、あ……あ」


「こんなに乱れさせられるのも俺だから、だよね。ねぇ蘭。誓って?」


「ふっ、あ……?」


碧くんの瞳が私を射抜く。まるで私を丸め込むような一切逸らすことを許さない圧に思わず唾を呑んだ。



「もう俺以外を見ないって。」


「っ、」


碧くんが口元にだけ笑みを浮かべた。

そんな事、生きている以上は出来ない。そんな絶対に不可能な事を言う碧くんにゾッとする。


「……あ……あ」


で、でも誓わないと。じゃないと……碧くんが……何をするか……。

それに誓わないと、きっとこのまま焦らし尽くされて、気が狂うまで続けるかもしれない。



そんなの、嫌。ただでさえ自分の意志を我慢してるというのにこれ以上自分自身を無くしたくない。



「わ、分かったから……だから、早くっ」


ーーーイかせて……。



「蘭……いっぱい鳴かせてあげる」


「っ、あああっ〜!!」



満足そうに口角を吊り上げ、碧くんが頷いた瞬間、求めていた強い刺激が与えられ喘ぐ。



「……蘭誓いを破らないでね? 破ったら……その時はーーー」


「やっ、やっんんん、あっ、はぅ〜〜っっ!!!」



何度も何度も絶頂させられ、碧くんが何を言っているのか理解できない。

身体中おかしくなってしまいそうな程の快感の暴力に、頭な真っ白になっていく。


ブラックアウトする前に暗い瞳で碧くんが笑いながら呟いたけど、分からなかった。








「もう閉じ込めてしまおうね……大切なものは宝箱に閉じ込めておかないと」

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