第25話
「ねぇ、蘭ちゃん本当は嫌なんだよね?」
「……え?」
「無理やり付き合わされているだけなんでしょう? 僕はずっと蘭ちゃんを見てきたから分かるよ」
「……深見、くん?」
何を言っているの? ずっと見てきたって。
笑顔を貼り付けたままの深見くんに思わずゾッとして、震えてしまいそうになる。
「深見くんさぁ、なんでそんな事言い出すの?」
碧くんはイラついたように声を荒らげる。
それもそうだ。
だって私と深見くんは全く関係無かったわけだし。
それが何故突然に……。
深見くんはふ、ふ、小さく笑うとパアッと誰もが見蕩れてしまいそうな蕩けた笑みへと変えた。
高校の時は碧くんに対応するのに必死で、周りの人達のことをよく分からずにきてしまったけど、きっと深見くんには沢山の人達が集まっていただろうと推測するのは簡単だった。
この笑顔を向けられたら思わず何でも言う事聞いてしまいそうだ。
「あの時は文乃くんに遠慮して言えなかったけど、僕ねずっと蘭ちゃんのこと好きだったんだ」
「えっ……?」
「あ、だったんだ、じゃないや」
えへへと照れたように深見くんが頬を赤らめる。
「今も、蘭ちゃんのことが好きなんだよね。大学に入ってあまり蘭ちゃん来ないから嬉しくて今日は思いっきって話しかけちゃった」
「…………」
予想もしなかった告白に呆然としてしまう。
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