第24話

戸惑うことしか出来ないでいると、深見くんが私の手を握り締めてきた。

突然のことだから、私も碧くんも咄嗟に反応出来なかった。


え、なんで握り締められているんだろう……。

深見くんの手が思ったよりも冷たいな、とか思うよりも碧くんが心配で慌てて碧くんを見上げると。


「……」


碧くんは無言で深見くんの手を叩き払った。


そして碧くんにギュッと掴まれていた手を握り締められてしまう。



「……っ」


痛みに眉根を寄せる。


「ねぇ、なんで勝手に蘭の手をお前が掴むの? 蘭に触れていいのは俺だけなんだけど」


「痛いなぁ〜文乃くん。そんな思っきり叩かなくてもいいじゃない。でもさぁ、なんで蘭ちゃんに触っちゃ駄目なの? 蘭ちゃんに触れていいのが君だけっておかしいよね」


「高校同じでクラスメイトだったんだから知ってるでしょ。蘭は俺の彼女だって」


「あぁうん。蘭ちゃんを無理やり"彼女"にしたんだよね」



深見くんがサラッと悪気もなく発した言葉に碧くんが纏う空気が張り詰めた。

……止めて欲しい。碧くんを変に煽らないで欲しい。


なんで深見くんもわざわざそんな事を言うんだろう。

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