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第10話
「っ、碧く、」
「蘭……俺だけの欄」
起きたと同時に朝から濃厚なキスをされる。
甘い痺れが走り、お腹の奥が疼きそうになったけど必死に足を擦り寄せて我慢する。
碧くんの手が太ももに伸ばさそうになった時、インターホンが鳴った。
ぴたっと動きを止め、碧くんが不機嫌そうに顔を曇らせた。
「碧くんっ! ダメだよっ」
そして無視をする事に決めたのか私の身体に触れようとするのを止めようとする。
だけど止めてくれる筈もなく。
「なんで? 蘭は俺だけ考えてくれてるんじゃないの? なんで蘭はそうやって簡単に俺以外の事考えるの? こんなにも傷だらけになっても蘭は俺以外に目を向けるの?」
「っ、」
碧くんが瞳孔を開き早口で言葉を投げかけてくる。
私に見せるように包帯の巻かれた手首を見せた。包帯は血が滲んでいるのか赤く染まった箇所があり、身体を強ばらせた。
「碧くん、そ、それ……」
ヒュっと喉が鳴り、震える手で碧くんの手首にそっと触れる。
「蘭がいけないんだよ。昨日、俺以外の人間に笑いかけたから」
「……あぁ……ごめんね、ごめんね碧くん……」
私のせいだ。
昨日はいつものように穏やかに1日を過ごせたから、暫くは碧くんの気に触ることがなければ自分を傷付ける事なんて無いと思っていたのに……。
私が寝ている間に切ったんだ……。
気付いてあげれなかったのがいけなかった。
「碧くんごめんね」
「蘭は俺だけでしょう? 俺を狂わせるのは蘭なんだって事ちゃんと解ってよ」
「っ」
碧くんを強く抱きしめる。
彼をここまで追い込んでしまった私の罪は残酷なほど重かった。
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