第4話
毎日ストレスを感じて、学校に行くことが億劫になっていた。
そんな日々の中、あの日の事は今でも衝撃的だった。
ーー碧くんが目の前でカッターを持ち出したと思ったら手首を切った。驚くことしか出来なくて、止める暇も無かったんだ。
「碧くん!?!」
深く切ったみたいで沢山の血が溢れ、肘まで垂れていく血に胸が締め付けられる気分だった。
痛い筈なのに碧くんは微かに笑っていた。まるで心配して貰えるのが嬉しいとばかりに。
「て、手当しなきゃ!」
「蘭の手が汚れちゃうよ?」
「汚れる事なんてどうでもいいよっ。それよりも早く保健室に行こう!?」
他人事のように血が出る手首を気にもとめずニコニコ微笑む碧くんに私の方が慌てる。
碧くんの切っていない方の右手を掴み、急いで保健室へと向かった。
なんで笑っていられるのか分からなかった。
それに、何故自分を傷付けるのかも全く分からなかった。
その日から碧くんはどんどんおかしくなっていったんだ。
私が碧くんと付き合わないと首を切る、と言われたら……もう付き合わざるおえなかった。
私のせいで碧くんが死ぬのなんてそんなの絶対に嫌だったから。
私が我慢すればいいだけだ。
そうすれば碧くんは死ぬことはない。彼を生かすために私は彼の傍にずっといよう。
そう決意したのは直ぐだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます