第45話

蓮音は笑っていた。


とても満面の笑みで。だけど、瞳は全く笑っていなかった。

詩音に至っては、無表情だった。


思わず「ヒッ」と脅えた声が出てしまった。


ビクッと肩を揺らすと、蓮音が手を伸ばしてきた。



「あのさぁ〜、僕のハルちゃんに触れていいなんて許可した覚えないんだけど?」


グイッと肩を後ろへと引き寄せられ、隼から離れさせられてしまう。

そして横から手を伸ばされ、詩音に抱き締められてしまった。



「っ、姉ちゃん!」


隼が唖然としていたけど、慌てたように私へと手を伸ばそうとするけど私に届くよりも早く蓮音に遮られてしまった。



「あ〜あ、だから嫌だったんだよねぇ」


蓮音が低い声で笑う。

詩音は私を抱きしめる力を強くして、苦しいと感じるぐらいだった。



「し、詩音、苦し……」


「駄目。春香が悪いんだよ」


「っ、」



詩音が私の首に顔を埋めてくる。髪が肌に当たり、擽ったい。

詩音の腕の中から逃れようとするけど、詩音は私のことを離す気は全くないようだった。



「ねぇハルちゃん、もう満足したでしょ?」


「っ、え?」


蓮音が笑ったまま問う。

何の事かと思わず、呆然としてしまいそうになった。



「ぐっ、う!」


「!? 隼っ!?」


隼の苦しそうな声にハッとすると、隼がフローリングに倒れ込んでいた。

何が起きたのか分からず、慌てて隼の元へ駆け寄ろうとするけど詩音が離してくれない。

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監 禁 るい @korohana

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