第44話

待ち焦がれたその姿を見た瞬間、涙が溢れた。


「隼!」


「っ、姉ちゃん!」


元気そうな様子に安心した。

2人がいるというのも気にもとめず隼の元へ駆け出して隼の身体を抱き締めた。


強く抱きしめると隼が身体を震わして抱きしめてくれる。


泣いてるのが分かり、とても切ない気持ちになった。



「隼、ご飯はちゃんと食べてるの?」


「っうん。食べてる。姉ちゃんこそ食べてるのかよ。……っ前より痩せた」


「食べてるよ。ごめんね。隼を1人にして」


「…っ」



身体を離して自分より身長の高い隼の頭を撫でると、くしゃりと顔を歪めた。

切れ長の瞳から涙を零す隼に笑みがこぼれる。


あぁ、良かった。

ずっと気になっていたから。

こうやって会えるなんて…。



「姉ちゃん、一緒に帰ろう」


「隼……」


隼の涙を指で払ってあげると、隼が意を決したようにそう言った。

私を抱きしめ、後ろにいる2人を見たのが分かる。


隼の言う通り、2人から逃げ出して普通の生活に戻りたい…。

でも……。


さっきから何も言わない2人が気味悪かった。



「ねぇ、ハルちゃん。」


「っ!!」


蓮音の私を呼ぶ声にビクリと肩を揺らす。

隼に抱きしめられたまま振り返ったことを後悔した。

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