第41話

蓮音に言われた言葉を思い出し、ため息をついて苛立つのを抑えようとコーヒーに手を伸ばした。



「君は春香に会えたとして、どうするつもりでいるの」


春香に会わせたくない。


でも、蓮音は会わせる気でいるようだから。

俺が絶対に会わせたくないと言ったところで、蓮音は俺に隠れていずれ春香と弟を会わせてしまうだろう。


俺の知らないところで春香が弟とはいえほかの男に会っているなんてそんなの許せない。

春香には俺を……俺らだけを見ていて欲しいから。


「そんなの姉ちゃんをお前らの所から助け出すに決まってるだろ」


「はは」


「何がおかしいんだよ!?」



鼻で笑うとまた弟が騒ぎ出した。あぁ本当に煩わしい。

春香を俺らから奪う気でいるなんて。


そんなの絶対に許すわけないというのに。



「まぁ、いいや。仕方ないから春香に会わせてあげるよ」


「は!?」


「なぁに。嫌なの。それなら俺としたら大歓迎だけど」


「嫌なわけあるか。本当に姉ちゃんに会わせてくれるんだろうな」


「不本意だけどね。俺が駄目って言っても蓮音がいずれ会わせちゃうだろうから。会いたいならついてきたら」



伝票をレジまで持っていき精算して、春香の弟の方を振り返らずにそのまま歩く。

何か文句言いつつやっぱり着いてくるようで、小さく舌打ちをした。

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