第37話

疑った目で見てしまうと、蓮音がうっそりと笑った。


「さぁ、キスして?」


「う、ん。分かった」


会わせてくれるのなら、キスぐらいどってことない。身体を求められるより断然キスの方がいい。


自分からは何もしないのか、待ち構えている蓮音に自ら手を伸ばす。

頬に手を添えて、ゆっくりと顔を傾けて唇を合わせた。


直ぐに離したけど、腰を蓮音に掴まれてしまう。



「まさかこれぐらいでいいなんて言うと思ったの?」


「……っ、で、でも」


チラッとドアの方を見る。多分、そろそろ詩音も帰ってくる。

躊躇うと、大きくため息をつかれた。


「こんなんじゃ満足するわけないでしょー。詩音に聞いてあげのに、酷いなぁ〜」



蓮音の不機嫌そうな声音にビクッとしてしまう。

このままやっぱり無しと言われてしまったら嫌だ。


慌てて蓮音にまたキスをした。

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