第30話
ビクッと肩を震わせて、蓮音に横抱きされたまま後ろを見ると。
詩音がくしゃりと前髪をかきあげて苛立ったような顔をしていた。
「蓮音ばかり狡いんじゃない?」
「…………はぁ?」
「仕事上どうしても蓮音の方が家にいる率が高いんだから、必然的に春香は蓮音と一緒にいる時間が多いよね」
「だからなんだって言いたいわけ? ハルちゃんを共有するって提案したのは詩音でしょ? 本当は僕だけのモノにしたかったのにさー」
何故か口論になっている2人に私こそため息をつきたくなってしまう。
こんなの聞いてたらますます眠れなくなる。
「俺はただもっと春香と2人きりにさせてくれてもいいんじゃないかって言いたいだけだよ。日中は春香に好き勝手やってるみたいだし」
「ハルちゃんが目の前にいるのに我慢しろって方が無理でしょ。それに詩音はハルちゃんに痕付けすぎ! まるで詩音だけのものみたいで見ていて不快になるから加減してよ」
……内容が私の事で揉めてるので笑えない。
漸くリビングへと連れてこられ、ソファーに降ろされた時には寝る前よりもぐったりしてしまった。
ふぅと息をついていると、ソファーに座る私の目の前でしゃがみこみ目線が低くなった詩音がじーと私を見つめていた。
いつの間にか口論は終わったらしく、蓮音が温かい飲み物を入れてきてくれてるらしい。
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