第27話
「本当は春香を独り占めしたい。だけど、俺たちは双子だからなのかな。分かるんだ」
「んっん、……?」
首に歯を立てられ、痛みに声をもらす。
最後の方はポツリと呟いてて聞き取れず、困惑していると。
詩音が哀しそうにふ、と笑った。
何故そんな風に笑うのか分からない。
「春香のこと最初好きになったのは俺の方だというのにね」
「詩音……?」
「何でもないよ。春香はただ感じて喘いでくれればいいから」
その言葉通り、詩音に身体を暴かれただ喘ぐことしか出来なくなるのは直ぐだった。
* * *
「あーあ……狡いなぁ詩音は」
気を失った春香をベッドに横たえさせ、シーツを被せて頭を撫でていると。
ノックも無しに入ってきた蓮音がそうごねた。
不満そうな声に、春香から顔を蓮音に向けると。不機嫌そうな顔をしている。
「盗聴でもしてたの」
「うん。だってぇ、詩音とヤッてる時にハルちゃんはどんな風なのかなぁーって気になって。結構ハルちゃんってば強引にされるの好きだよね」
「悪趣味だね。蓮音だって俺が居ない時に春香としたんだからおあいこでしょ」
「でも、ハルちゃんが潰れる程してないもん。詩音ってば涼しい顔してやることはえげつないんだから〜」
嫌味を言えて満足したのかそれ以上は言わずに近寄って、春香の髪をふわりと撫でた。
「ハルちゃんは、僕達のこと思い出してくれてないんだよね……」
「…………完全に忘れてるみたい」
「だよね。思い出さない方がいーんだろうけど、やっぱり悲しいなぁ」
蓮音の言葉に笑った。
ーー思い出して。
でも、あの出来事は思い出さないでーー
矛盾しているけど、どうしても願ってしまう。
「大丈夫だよ蓮音。春香は一生俺たちのものだ」
「うん。そうだねー。ここで一生一緒に過ごすんだから、もう心配する必要も無いね」
そう。
春香は絶対誰にもやらないんだから。
大丈夫。
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