第26話

慌てて詩音の唇に自身の唇を当て、慣れないながらキスをしていく。


「春香、下手くそ」


「っ、あ……ご、ごめんなさ……」


「で? これからどうするつもり?」


唇を離してじっと見つめられ、狼狽える。

ど、どうしよう……。服を脱がせる……?

震える手を伸ばして、詩音の着ているシャツを脱がそうとしたけれど逆に手を掴まれてしまった。


ぎゅっと強く掴まれて痛みに顔を歪めると、詩音は微かに笑った。



「春香ってば手震え過ぎだよ。そんな強ばった顔で動かれても全然嬉しくない」


「っ! だ、だって……」


仕方ないと思う。

自分から、だなんて初めてだしましてや行為自体が初めての相手だ。


経験がある筈もないというのに無茶をよく言う。


悔しさから堪らず唇を噛み締めて顔を背けると、詩音に顎を掴まれてキスをされた。



「んっ、んん」


ちゅ、ちゅとワザと音を立てたキスを何回も繰り返され慌てて目を強く瞑る。



「まぁ、でもその初々しさがいいか。むしろ誰かの相手していたら、春香のこと壊してたかもだしね」


「っ! やっ、あ」


末恐ろしいことをぼそっと呟き、首筋にキスを落とされる。

ツキ、とした痛みに堪らず声を上げると歯を立てられた。



「んっん、」


「やっぱり春香は俺たちに可愛がられているのが1番だね。永遠にここで俺たちに閉じ込められていれば、良いんだ」



呆気なく着せられていた服を脱がされ、閉じ込めるように抱き締められてしまう。

肌に空気が触れ、ブルリと身体を震わすと詩音がこめかみにキスを落とした。

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