第25話

「詩音の言うこと、何でもきく……だから、怒らないで」


「何でも、ね。例えば春香から俺の上に乗っかってセックスしてくれるのかな?」


「っ!!」


「春香からはしてくれた事ないもんね。いつも俺から。あぁ、それとも蓮音にはしてあげた?」



低い声音で言われ、必死に顔を横に振る。

そんなの蓮音にも、今までの彼氏にも自分から乗っかってしたことない。


「へぇ? じゃあ、俺が初めてだよね?」


「……っ!」


「春香。返事は? 初めてだろ」



首に手をかけられ、軽く締められる。

このまま力を込められてしまうのではないかという恐怖に、震えた声のまま肯定した。


「まぁ、それでいいか。早くおいで。自分から言ったんだから、早くしてよね」


「っ……、」


自分からと言ったって、したことないのにどうしたらいいか分からない。

でも、これで詩音の機嫌が少しでも良くなるなら我慢するしかない。


詩音がベッドに仰向けで横になり、私の腕を引く。恐る恐る志音の上に乗り、ふにゃりと顔を歪めた。

もう嫌だ。

どうしたらいいか分からないのに……。


泣きたくなっていると、詩音は小さく息を吐いた。呆れたような声音にビクッと肩を震わせる。

怒ったのだろうか。

怒った時の詩音は顔には表さないというのに、私に対してやることが度を越すことになる。


体中が詩音の痕だらけになるし、絶頂を迎えても終わらせてくれない地獄のような快楽スパイラルに陥っていくのだ。

それだけは避けたい。



「し、詩音、怒らないで……っ」


「怒ってないよ。ただ、俺が暇なだけ。早くしてくれる? それとも今すぐ蓮音も呼んで3人でする? そしたら絶対終わらせないけど」


「っ!! わ、分かった」


3人でなんて、嫌だ。1人相手してるだけでも、ごっそり体力を削られて息も絶え絶えになるというのに3人ですると私が意識を失おうが無理だと訴えようが笑いながら続けられてしまう。

それこそ指先1つ動かせない程に。

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